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『ご、ごめんね。なんか言っちゃだめだったかな…?』
長い沈黙の間も月くんの固い表情は変わることはなく、私はとんでもないことを安易に聞いてしまったのではと思って、とうとう口をつぐんだ。
これ以上なにか話して嫌われでもしたら生きていけないほど、彼に依存してしまっている。
山姥切「…いつまでも隠してはおけないんだよ」
水心子「そうだぞ。これを機にするのもまたタイミングだと思うが」
なにか事情を知っているのだろうか。
隠しておく、とはきっと月くんの話したくない部分が含まれるのだろう
水心子「今回を逃して次はどんなタイミングで伝えるつもりだ?」
月「言っただろ。話したらもう…」
水心子「聞かれていればの話だろう?ここには僕も長義もいる!施設の結界は頑丈だが僕たちがここだけに結界を重ねることもできる。札は貰ってきているんだ」
山姥切「君が心配していることはまず起こらない。それは我々が保証しよう」
水心子「それでは展開するぞ。長義!」
月くんの返事を待たずに山姥切さんと水心子さんは懐からお札のようなものを取り出して何やらぶつぶつと呟いている
様子を伺っていると月くんの握られた拳が白く変色して震えてるのが見えて、そのまま目線を上げれば変わらない青ざめた額に冷や汗が吹き出していた
何をそんなに怯えているのだろう。月くんが辛いなら私は別に知らないままでいい。
『月くん、話したくないならいいんだよ。ずっと内緒にしてていいから…座って?』
冷たくなった固い拳を引いて無理やり座らせると、ベッドサイドにある備え付けの棚から彼が荷物として持ってきてくれたフェイスタオルを一枚取り出して、できるだけ優しく額に当てがった。
月くんはしばらく身を固くして俯いていたが、額の汗を拭き終わる頃にはぎこちない笑みを見せてくれた。
月「…今から何を聞いても」
『うん?』
月「今から何を聞いても、俺がお前を想う気持ちは嘘じゃないって信じてくれるか」
『うん、だって月くん大好きだもん。信じるよ』
月「全部知った後も、同じように言えるか」
月くんは何もかも諦めたように笑ってまっすぐ私を見ている。
咄嗟に頷いて座る彼の首に腕を回して抱き付いた
初めて見る彼の様子に、どこかに行ってしまうのではないかと怖くなってしまったから。
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作者名:名無しさん | 作成日時:2023年4月2日 13時