15話 ページ16
目の前で頭を下げた男に対して浮かんでくる疑問
ゆっくりと開いた口は遠慮も知らず言葉を紡ぐ
『内情は分かった。しかし、何故俺に頼む？何故己で助けようとしない？
それだけ情報があるならば摘発に向かうことも出来るはずだ』
「…貴方の言うことは最もです。しかし、我らは直接手出しはできない契約となっています。何かを通してしか動くことは出来ません。」
『つまりは、俺に橋渡しの役割をしてほしいと？』
「はい。」
ほぼ即答とも言える返事をした男に思わず眉を寄せた
これでは利用されているのと同じことだ
「…一度失った貴方の命を刀剣の為に賭けていただきたい。審神者暗殺が終わった後は生きるも死ぬも貴方の自由です。」
『俺はその審神者なるものを殺せばいいのか。』
「はい。そこでなら貴方の持つ越前康継を存分に振るえます。どうか、命を助けた我々に恩を返すと思って…」
『……。』
確かにそうだ
死んだと思ったのに目の前の男やその周りの人に助けてもらった
あんなにボロボロだった体もどこも痛くない
引き合いに出してくる性格の悪さに眉を寄せながら
俺は出された提案に頷くしかなかった
＊＊＊
そびえ立つ逸枝にも重なるように並ぶ大きな鳥居
装飾が付いていたのだろうか
所々、欠けたような跡
その姿の半分を覆い隠す深緑色の蔦
扉から踏み出した足には伸び切った雑草が容赦なく当たる
『随分と荒れていますね。手入れはしていないのですか』
「はい。手入れが出来る者がいないので…。」
内心かなり落ち着いてきた為、本来の口調である敬語も話せてきた
この本丸の担当役人だと名乗った男は寄ってきた蝿を必死に避けながらそう返事する
草抜きくらいできるだろうと内心思いながら、草をかき分けて石畳の階段まで進む
これもまた酷かった
よく気をつけて登らないと生い茂った苔で滑って転けそうになる
時折、後ろにいる担当が焦ったように腕を振り回すのを避けながら慎重になって登った
長い長い階段が終わると目の前に見えたのは大きな門
おそらく新撰組屯所より何倍も大きいと感じる
これで蔦や何かのシミがなければ立派だっただろう
「はあ…。着いてしまいましたね…。」
『ああ。』
「では入りましょうか。でも気をつけてくださいね。全てがそうではないにしろ、ブラックになった本丸の刀剣はどんな事をしてくるか、分からないので…。」
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名無しさん(プロフ) - 伏ぺいさん» コメントありがとうございます。コメントの返信が遅れてしまい申し訳ないです。嬉しいお言葉すごくありがたいです！更新できるよう頑張りますので完結まで見ていただけたら嬉しいです！ (2020年5月16日 19時) (
レス) id: 7c9fe9a3cd (このIDを非表示/違反報告)
伏ぺい - 主人公とみんなの会話のドッチボールがとても面白いです！ゆっくりでいいので更新待ってます！ (2020年5月1日 16時) (レス) id: 0c71642d46 (このIDを非表示/違反報告)
名無しさん(プロフ) - ゆりさん» コメントありがとうございます。長らく更新できておらず、またコメントの返信も遅くなってしまい申し訳ないです。私生活が少し落ち着いてきましたのでこれから更新していきたいと思います！ (2020年4月10日 13時) (レス) id: 7c9fe9a3cd (このIDを非表示/違反報告)
ゆり - 面白かったので更新再開を心待ちにしております (2020年3月9日 12時) (レス) id: aea964e9bf (このIDを非表示/違反報告)
名無しさん(プロフ) - 架印�靴気�» コメントありがとうございます！実は私も新撰組が大好きです…！刀剣乱舞ベースですが出来るだけ新撰組を多めに話に絡めていくので今後の登場人物や回想シーンを楽しみにしていただければと思います！ (2019年5月18日 19時) (レス) id: 7c9fe9a3cd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：名無しさん | 作成日時：2019年3月10日 1時
