89話 ページ41
『いたっ…』
割れた破片が指先に刺さり手のひらを傷つけて血が出た
それでも早く消したくてビリビリに破いた写真に向かって拳を振り下ろした
痛みが走ってガラスが刺さったのだと分かる
急に悲しくなって
あの本丸に帰りたくなった
耳に光るピアスを摘むとこんのすけに教わった言葉を口にする
『審神者、帰城』
それだけ
それだけで私の部屋に緋色が満ちてクローゼットに光が集まる
近寄ってクローゼットを開けると、いつもの服や物にまみれた中身はなく、本丸のいつもの門前に繋がっていた
吸い込まれるように靴も履かずに中に入ると光の粒になってクローゼットが消えていく
さっきとは比べ物にならないくらいの安心感に襲われて
心底ホッとしながら靴下のままだったことを思い出して爪先立ちで玄関まで歩いた
いつものガラス戸を横にスライドすると深呼吸を１つして段差部分に腰掛けた
なんとも安心する本丸の匂いに気持ちが落ち着いていく
？「ありゃ？おかえり〜」
不意に聞こえた声に一瞬ビクッと肩が跳ねて振り向くとそこに居たのは反対派の髭切さん
予想外って顔をして廊下の曲がり角から顔を出している
『あ、ただいまです…』
爪先同士を擦り合わせ汚れを落とすと立ち上がってそう返した
髭切さんは後ろで手を組みながら髪を揺らして近づいて来て
何かしてしまったのかと身構えてしまう
髭「君、怪我してるね。それは誰にやられたのかな？」
『え？』
一瞬何のことか全然わからんくて
でもよく考えたらさっきガラス刺さった
意識した途端、痛み出した手のひらに顔を歪めると髭切さんに腕を取られて顔を上げた
髭「薬研君に手当てしてもらおうね。」
有無を言わさずって感じで腕を引かれるままどこかに向かう
見えてきたいつもの景色や道順で大広間に向かっていることがわかった
髭「はいるよー。」
返事を待たずに髭切さんによって開けられた大広間を覗くと上座付近に大きな白い布が掛けられていて
長谷部さんが慌てた様子でパソコンを閉じる音が聞こえた
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名無し - 細かく表現されていて読んだときにヒヤヒヤしました。 (2022年3月8日 23時) (
レス) @page5 id: 3da9111bbc (このIDを非表示/違反報告)
名無しさん(プロフ) - …さん» コメントありがとうございます！面白いと感じていただけて嬉しいです！今後もよろしくお願い致します。 (2019年1月23日 11時) (レス) id: 7c9fe9a3cd (このIDを非表示/違反報告)
… - 物凄い面白い話だと思い、すぐ読みきってしまいました！ (2019年1月22日 16時) (携帯から) (レス) id: 46e1741f78 (このIDを非表示/違反報告)
名無しさん(プロフ) - 刀剣乱舞初心者ですさん» コメントありがとうございます！好きになっていただけて嬉しいです…！ (2019年1月17日 10時) (レス) id: 7c9fe9a3cd (このIDを非表示/違反報告)
刀剣乱舞初心者です - この作品とても好きです！お体に気をつけながら更新頑張ってください！ (2019年1月16日 19時) (レス) id: c2cb9b617d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：名無しさん | 作成日時：2019年1月7日 14時
