一番になれない。3【風が強く吹いている】

119話 ページ42

「あーちゃん先輩おはよ！

洗濯物やる？俺干すよ！」


「あ！俺がやろうとしたのに！

えー、じゃあ俺は寮の掃除するね！」




竹青荘の記事が掲載されてからはや数日。


まだちょくちょく取材申し込みは来るものの、一時期よりは忙しさを感じなくなった頃。


やっと練習に加われるかな、なんて考えていた時に双子がやけに私に構うようになってきた。


私の負担にならないように朝は私が起きる時間帯には起きてきて、洗濯物を干したりしてくれる。


練習の時には皆のために用意した水入りボトルを積極的に運んだり、寒くない？なんて言ってパーカーを掛けに来てくれたりして。




「あーちゃん先輩。
俺達テレビでたいなぁ〜？」


「そうそう！
かっこ良く映りたいなぁ〜？」




なんて言葉がなければ、『手伝ってくれてありがとう！』って褒めるんだけど。



要するに双子はどんな取材が来ているか全部把握している私に取り入ろうとしている。



そんなことしても、受けるかどうかを決めるのはきーくんなのに…


外堀から埋めよう作戦？

そこまで双子が考えてるかは謎けど。




『もっと練習に本腰を入れないと…

本番も迫ってきてるし、情けない走りが全国に放送されちゃうよ？』



なんて宥めてはいるけど、
「ヤダー！
テレビ出たい！」
って駄々をこねられてしまう。


みんなが居る前でもところ構わず交渉してくるからいよいよ私も参ってきたりして。



結局根負けした私がきーくんに直談判しに行って、一件だけテレビの取材を受けることになった。


夕方のニュースの5分くらいのトピックスコーナー。


ずっとこの時を待ってました！と言わんばかりの双子とキングを筆頭に撮影は進み、無事に終えることができた。

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