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96話 ページ18

『なんだ、王子かぁ。』



「なんだ、ってなんですか。」



『だって…急に隣に座るから。』




私の隣に座る人なんてあまりいないもの。


そう言おうとした言葉を飲み込み、片耳だけイヤホンを外して真正面に向けていた体を王子の方に向ける。


隣で不服そうに頬をふくらませる王子は漫画を読みながら私に文句を垂れていた。







相変わらず美少年だな…



ぱっちりとした二重
目の印象を際立たせる睫毛
ふわふわとした髪の毛





王子にはファンクラブみたいなものがあったりするらしい。


作られて間もないけれど、会員数は50人を超えてるんだとか。


勿論本人は知る由もない非公式ファンクラブだけど。




気だるけに歩く王子の姿を目で追って嬉しそうに話す女子を見ることは珍しくない。



ファンクラブに入会してる女子はこの講義を受ける人の中にも勿論居た。



最初は私を睨みつけていたけれど、頬を膨らま
せていた王子に心を打たれ机の上に項垂れている。



睨まなくたって何もしないのにね。




当の本人は他人の視線に全くと言っていいほど気づかず、漫画を読みすすめてるけど。




文句を言いながらも読むペースは変わらない。


1ページを30秒かからずに読んでページをめくっている。



そんなに速く読んで内容頭に入るのかな…


なんて思いながらページをめくる王子に目を向けてた。


「心配してきたのに…」


そう、拗ねたように王子が小さく呟いたのを私は見逃さない。





『王子、心配してくれたんだ。』


「別に…」


『ふふ、ありがとう。

心配してくれて。』





手を伸ばしてふわふわとした王子の髪の毛を優しく撫でる。


嬉しそうに頬を緩めた王子を見て冷えきっていた心が温まった。

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設定タグ:風が強く吹いている , 清瀬灰二 , 箱根駅伝   
作品ジャンル:恋愛
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マナミ(プロフ) - 面白いです!主人公が灰二さんにベッタリとか好き!ユキ君達との仲の良さ、王子も相談に乗ったりで素敵!灰二さん、主人公の気持ちに…困ってる不安も気づくべき!ユキ君達も主人公に惹かれt((更新頑張って下さいね!無理はしないで下さいね… (2020年7月31日 2時) (レス) id: f5569c460a (このIDを非表示/違反報告)
采音(プロフ) - 続き気になります!ゆっくり更新していただけたらいいなぁって思っています! (2020年6月28日 7時) (レス) id: 93bfdfd3ea (このIDを非表示/違反報告)
りんね - とっても面白いです! (2020年3月18日 16時) (レス) id: 48ddc9040e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:藍緒(アオ) | 作成日時:2019年9月26日 0時

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