92話 ページ14
王子は確信してる。
私がきーくんの事を好きなことも。
きーくんが私のことをそういう対象として見ていないことも。
私は視線を逸らしたまま、言葉を紡いだ。
『うん…そうだね。
私はきーくんが好き。』
朝の静かな通学路。
いつもは好きな静けさも今は少し居心地が悪い。
似合わないなんて、他の人みたいに笑われるだろうか。
それとも可哀想な女だとバカにするだろうか。
私を見下し、冷たい言葉を吐くのだろうか。
嫌な考えが頭の中に巡ってはもやもやと埋め尽くしていく。
けれど王子はなんだか嬉しそうに、
「やっぱり。
バレバレですよ。」
そう言って安心したように微笑んだ。
『なんで…笑わないの？』
「なんでって…なんでですか？
良いじゃないですか。
恋。」
灰二さんも勿体無いですよね。
こんな綺麗なあーちゃん先輩が想ってくれてるのに。
「それに、僕の好きな人はどうしても画面から出てきてくれないですからね。
羨ましいですよ。」
そう、王子はやっぱり嬉しそうに言うと戸惑う私の背中を押して学校へ歩みを進めた。
なんで、そんなに嬉しそうに話してくれるんだろう。
きーくんの事が好き。
そう言うと今までは心もとない言葉を浴びせられるだけだった。
Aとは釣り合わないんじゃない？
Aじゃなくてあの人とのほうがお似合いじゃない？
付き合ってると勘違いをして、私に言葉を吐きすてていく人もいた。
私の恋を否定して、貶めて。
「良いじゃないですか」
初めて言われた自分の恋を肯定する言葉に涙が溢れてくる。
止まらない私の涙に王子は気づかないふりをして、そっと手を引いてくれた。
__________
『…王子は私の気持ち、知ってたんだね。』
「入寮してからすぐに分かりましたよ。
あーちゃん先輩、灰二さんと話してる時すごく幸せそうだったので。」
『ほんと…よく見てるよね。
そんなに私わかりやすい？』
「そんなことないです。
他の人は気づいてないと思います。
僕は漫画のネタ材料としてよく人を見てますから。」
『なんか…それもそれで嫌だね。』
王子の１人称ど忘れしてしまいした。
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マナミ(プロフ) - 面白いです！主人公が灰二さんにベッタリとか好き！ユキ君達との仲の良さ、王子も相談に乗ったりで素敵！灰二さん、主人公の気持ちに…困ってる不安も気づくべき！ユキ君達も主人公に惹かれt((更新頑張って下さいね！無理はしないで下さいね… (2020年7月31日 2時) (
レス) id: f5569c460a (このIDを非表示/違反報告)
采音(プロフ) - 続き気になります！ゆっくり更新していただけたらいいなぁって思っています！ (2020年6月28日 7時) (レス) id: 93bfdfd3ea (このIDを非表示/違反報告)
りんね - とっても面白いです！ (2020年3月18日 16時) (レス) id: 48ddc9040e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：藍緒(アオ)
| 作成日時：2019年9月26日 0時
