【赤羽業】似たものカップル7【暗殺教室】

247話 ページ8

渚の猫だましを、舌を噛んで咄嗟に意識の波長をずらして気絶を防いでかつ麻痺も最小限にする。


戦闘においてカルマの感性は天賦のものだと殺せんせーは言った。





全ての殺意が渚のもつ一本のナイフに凝縮される。



それさえ防げばカルマの勝ち。


渚の武器はもうナイフだけ。


ナイフをなくせば、渚はカルマをやれる手段が無くなる。




私は自分の手を握りしめ、2人の攻防の行く末を見守った。



数秒の睨み合いが続く。


落ち葉を踏みしめ、先に仕掛けたのは渚だった。




ナイフを向けて、たちまちカルマとの距離を縮めていく。



あと数センチでナイフの切っ先がカルマの頭に当たる…というところで渚はナイフを手放した。





「…は？」





殺気を纏ったナイフは勢いのままにカルマ目掛けて飛んでいく。



呆気にとられたカルマは呆然としながら飛んできたナイフを弾き飛ばした。



風の抵抗を受けて無力化したナイフを弾き飛ばすのは容易い。

けれどその隙に渚は姿勢を低くしてカルマの視界から消えていた。





「いィやっ！！！」





まだ思考の定まっていないカルマに渚は飛びつくと、カルマの首に手を回す。



腕で頸動脈を絞め上げて意識を奪おうと力を込めた。




『肩固め…!?』




綺麗に決まった格闘技は、相手の意識を奪うのに最適な技。



本能的に危険を感じたカルマは渚を引き離そうと藻掻くけれど、渚はカルマから離れる気配がない。


カルマは多少なりともさっきの猫だましの影響が残っていて、本来の力が出し切れていないのが見て取れる。





「ぜったい…言う事きかす…！」





渚は自分の最大の得意分野の暗殺技術を捨て駒に使って素手の勝負に持ち込んだ。


そして決め技に格闘技を選ぶ。


自分ではなく、カルマの最も得意な分野で決着をつけるために。



カルマが渚にやったのと同じように、カルマにもちゃんと敗北を認めさせる為。




カルマは脚をばたつかせ、必死に渚から離れようとした。


けれどいくら渚の横腹を殴っても渚は離れようとしない。


このままだとカルマは確実に気絶して負ける。



藻掻きながら落ち葉を漁っていたカルマの手が一瞬止まった。


何かを握るような動作をしてそれを持ちあげる。


赤い色のついた一本のナイフが、カルマの手に握られていた。

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