205話 ページ6
「浅野君と勝負したんだ。」
「1位になったらAを貰う。
そう言って俺から浅野君に挑んだんだ。」
『え…』
「あれ？浅野君から聞いてない？」
何だ、言ってると思ってたのに。
そう言って頬をかくカルマを横目で見ながら私は頭の中で整理をする。
カルマは学秀に「1位になったら私をもらう」と言った。
そして今回のテストではカルマが1位になって学秀は私との婚約を破棄。
カルマが今まさに私を貰いに来ている？
ああ、そういうこと…理解した。
学秀がこの紙を持ってきた理由に納得をする。
「だから、貰いに来たよ。
ね？Aだって俺の事好きでしょ？」
ね？なんて首を傾げてるカルマ。
ちょっとカルマってそんなキャラだった？
「俺の事好きでしょ？」
なんて言っちゃう人だったっけ？
あざとく首を傾げちゃう人だったっけ？
ああ、可愛いな畜生なんて思いながら不可抗力で赤くなってしまった顔を背ける。
でもそれは図星ですってカルマに教えているようなもので。
みるみるうちに嬉しそうに頬を綻ばせ始めたカルマを見て胸が高鳴る。
…でも、私は首を縦にはふれない。
『カルマの事は好きだよ。
でも、もう付き合えないしE組にも戻らない。』
「…なんで。」
ああ、カルマの声のトーンが落ちた。
不機嫌そうに眉間にシワも寄ってる。
『私は一方的に別れを告げてカルマを傷つけた。
婚約者のことだって黙ってたし最低なことをした。』
カルマの横に立っていい女の子じゃないよ。
もっとカルマの横に似合う女の子はいるから。
キラキラした笑顔で三つ編みをした可愛い女の子が脳裏に浮かぶ。
『カルマはかっこいいから大丈夫。』
こんな女以外と幸せになる道もあるよ。
引く尽きそうな口角を思い切り筋肉で引き上げる。
「本気で言ってるの？」
カルマとは思えない程低い声に思わず肩を震わせる。
鋭い目をしたままため息をついて立ち上がると
「もういい。」
そう言って私の側を離れて行った。
カルマは私の方を振り向かないで保健室の出口に向かっていく。
私は熱くなってきた目に気づかないふりをしながらぎゅっとスカートを握りしめた。
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kiri(プロフ) - この作品が大好きです。ゆっくりで、時間のある時でかまいません。出来る限り続けていってほしいです。 (2019年3月28日 18時) (
レス) id: 0dfe216fbd (このIDを非表示/違反報告)
西野カナ大好き!結婚おめでとう! - すごく面白いです!これからも自分のペースで頑張ってください!応援しています！ (2019年3月27日 11時) (レス) id: 636dc1adae (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：藍緒(アオ)
| 作成日時：2019年2月5日 1時
