219話 ページ21
どんな過去でも、真実なら私達は受け入れる。
覚悟は決まっていた。
殺せんせーと過ごしてきたのは私の人生に置いて十分の一にも満たない僅かな期間。
それでも殺せんせーと一緒に勉強した、旅行した日々は濃く記憶に鮮明に残っている。
最初は正直甘く見ていた。
カルマみたいに実力行使はしなかったけれど、この先生もどうせ他の人と同じ…
そう思っていた時期もある。
でも、違った。
殺せんせーは私達に真っ向から向き合ってくれた。
カルマを救ってくれた。
カエデのことも救ってくれた。
それに、私だって…
「できれば過去の話は最後までしたくなかった。
けれど…
しなければいけませんね。
君達の信頼を、君達との絆を失いたくないですから。」
ぽつり。ぽつり。
殺せんせーは少しだけ下を向きながら呟く。
「夏休みの南の島で烏間先生がイリーナ先生。こう評しました。
"優れた殺し屋ほど
的を得た言葉だと思います。」
「先生はね、教師をするのはこのE組が初めてです。
にも関わらずほぼ全教科を滞りなく皆さんに教える事ができた。
それは何故だと思いますか？」
1人1人
顔を見渡しながら殺せんせーは訪ねてくる。
誰かの固唾を飲む音が聞こえた。
「まさか…」
そう言った誰かの小さな声に殺せんせーは肯定の意をみせる。
「そう。」
「2年前まで先生は…
"死神"
と呼ばれた殺し屋でした。」
「それからもう1つ。
放っておいても来年3月に先生は死にます。
1人で死ぬか、地球ごと死ぬか。
暗殺によって変わる未来はそれだけです。」
私達が何人で飛びかかっても決して殺すことのできない担任の先生。
黄色い体を持ち、黄色い触手を楽しそうにくねらせながら私達の攻撃を避ける超生物。
それはきっと、烏間先生でさえ知りえなかった秘められた人間の記憶。
＿＿＿＿＿＿＿
次から過去編が始まります。
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kiri(プロフ) - この作品が大好きです。ゆっくりで、時間のある時でかまいません。出来る限り続けていってほしいです。 (2019年3月28日 18時) (
レス) id: 0dfe216fbd (このIDを非表示/違反報告)
西野カナ大好き!結婚おめでとう! - すごく面白いです!これからも自分のペースで頑張ってください!応援しています！ (2019年3月27日 11時) (レス) id: 636dc1adae (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：藍緒(アオ)
| 作成日時：2019年2月5日 1時
