第五百五十二話 ページ35
『ライト…！』
「A…さん…？」
言葉を発したと同時にむせて血反吐を吐いたライト。
その痛々しい頬を慌ててもう一度包み込む。
あ、Aさん…
なんて呟いて安心したように目を細めるライトを見て涙がどんどん溢れてきた。
「良かった、怪我はしてませんね？
って…もう既に重傷ですよね。」
守れなくてすいません。
申し訳なさそうに謝るライトに私は大きく首を横に振る。
『そんなことない。
私がライトを巻き込んでしまったから…！
私が巻き込まなかったらライトは…！』
こうはなっていなかったのに。
そう言おうとしていた私の口にライトは人差し指を添えた。
その触れた手があまりにも優しくて、冷たい。
「これは私の意思です。
決してAさんが巻き込んだわけではない。
自分を責めないでください。
貴方が悪いことなんてひとつも無いんですよ。
だから、涙を止めてください。」
震える手で私の頬に伝う涙をライトは優しく拭う。
それでも涙は止まる気配をみせなくてライトが呆れて鼻で笑った。
いつ見ても裏のないライトの笑顔。
でもその笑顔も今はどこか影を落としている。
さっきよりも乱れてきたライトの呼吸。
止まることのない血。
冷えている指先。
焦点の合っていない目。
何度もその場面に対面してきた私には直感的に"死"を察していた。
多分それはライトも同じ。
私より自分のことは分かってるはず。
ライトは横になっていた体を仰向けにして鳥籠の隙間から空を見上げた。
「綺麗な空ですよ。」
そういうライトにつられて私も空を見上げる。
けれどそこに広がっているのは灰色の雲に覆われた薄暗い空。
どこをどう見ても"綺麗"だなんて思えないのに。
私の口からは
『そうね…』
なんていう肯定の言葉が溢れる。
それを聞いたライトが嬉しそうにはにかんだのを私は横目で見ていた。
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霧野シュウ(プロフ) - 感動をありがとうございました！続編が出たら絶対に読もうと思います！改めて、こんな素晴らしい作品を書いてくださり、本当にありがとうございました！！長文失礼しました。 (2022年8月18日 1時) (
レス) id: d98927171b (このIDを非表示/違反報告)
霧野シュウ(プロフ) - とても最高でした…イルア達が好きすぎて、亡くなってしまった時は本当に大号泣しました。夢主ちゃんの大切な人をどんどん奪っていったドフラミンゴには何回殺意が湧いたことか…笑 ワンピースの小説を読むのは初めてでしたが、この作品に出会えて本当に良かったです。 (2022年8月18日 1時) (レス) id: d98927171b (このIDを非表示/違反報告)
トッポッキ - もう、最高すぎました…夢主ちゃんの境遇が繰り返す別れが辛すぎて…でも最後はこの上ないハッピーエンドで安心しました。読んで良かった。オリキャラのエルもライトも大好きです。素敵な作品をありがとう。 (2021年11月8日 21時) (レス) @page47 id: 87201700fa (このIDを非表示/違反報告)
こまどん - では1日で読み終わった私はもっとすごいということで←おい (2020年8月8日 15時) (レス) id: 718e8cb135 (このIDを非表示/違反報告)
靜藍(プロフ) - とても面白かったです！そして感動で泣きました…！エルとライトかっこよすぎですっ！！イルア海賊団や、エース、エル、ライトとの別れが辛い！この作品大好きです！続編が出たら絶対読みます！ (2020年3月2日 13時) (レス) id: 114c5f5474 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：藍緒(アオ)
| 作成日時：2018年10月8日 14時
