第五百三十二話 ページ15
目が覚めた時、俺は記憶を失っていた。
ここが何処かわからない。
自分の歳もわからない。
自分が今まで何をしていたのかもわからない。
ただ、胸に穴が開いていた感じが強くあった。
それが何かはわからない。
けれど、大事なことを忘れているということに俺が気づくのは遅くなかった。
それから俺は厳しく革命軍の大人達に育てられ、数年後には参謀長の地位に務めることになった。
多くの仲間に祝福されて育ての親のドラゴンにも祝ってもらった。
それなのに、俺の心はまだぽっかりと穴が開いている感覚がある。
わからない。
当時の俺にはその理由も原因も何もわからなかった。
そんな日々を過ごしていた俺にある日、ある事件が飛び込んできた。
【白ひげ海賊団2番隊隊長"エース"が死亡。】
世界中を騒がせたこのニュースを見て俺は大きな声を上げて泣いた。
そして全てをその時に思い出した。
昔にエース達と街で暴れ回ったことも
ルフィが弟になったことも
ダダンに殴られたことも
あの山の上で猛獣を倒していたことも
貴族が嫌で家を出たことも
Aに好意を寄せていたことも。
瞳から流れる涙は止まる気配を見せない。
仲間達に心配されても何も言えずただ泣くだけだった。
暫く涙を流して落ち着きを取り戻した俺はもう一度新聞紙に目を配らせる。
【白ひげ海賊団2番隊隊長"エース"が死亡。】
という文字の下にも目を通していった。
そしてそこに記されていた
【麦わらのルフィ、死亡か？】
【ゴールド・ロジャーの実娘、ゴールド・Aの存在。しかし既に死亡している模様。】
という文を見て再び涙を流した。
俺が記憶を失っていなければ助けに行けた。
記憶を失っていなければ探しに行けた。
激しく後悔をすると同時にもう誰もいない、独りなんだと思い知る。
結局ルフィもAも無事だと確認できたけど、もうあんな思いはしたくない。
失いたくない。
俺は今、自分の手で守ることができる。
だからこの腕の中にいる愛する女を、ジョーカーの部下となってしまった女を自分の手で守りたかった。
単なる俺のワガママだと言われるかもしれない。
それでもこの腕を緩めることは俺にはできなかった。
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霧野シュウ(プロフ) - 感動をありがとうございました！続編が出たら絶対に読もうと思います！改めて、こんな素晴らしい作品を書いてくださり、本当にありがとうございました！！長文失礼しました。 (2022年8月18日 1時) (
レス) id: d98927171b (このIDを非表示/違反報告)
霧野シュウ(プロフ) - とても最高でした…イルア達が好きすぎて、亡くなってしまった時は本当に大号泣しました。夢主ちゃんの大切な人をどんどん奪っていったドフラミンゴには何回殺意が湧いたことか…笑 ワンピースの小説を読むのは初めてでしたが、この作品に出会えて本当に良かったです。 (2022年8月18日 1時) (レス) id: d98927171b (このIDを非表示/違反報告)
トッポッキ - もう、最高すぎました…夢主ちゃんの境遇が繰り返す別れが辛すぎて…でも最後はこの上ないハッピーエンドで安心しました。読んで良かった。オリキャラのエルもライトも大好きです。素敵な作品をありがとう。 (2021年11月8日 21時) (レス) @page47 id: 87201700fa (このIDを非表示/違反報告)
こまどん - では1日で読み終わった私はもっとすごいということで←おい (2020年8月8日 15時) (レス) id: 718e8cb135 (このIDを非表示/違反報告)
靜藍(プロフ) - とても面白かったです！そして感動で泣きました…！エルとライトかっこよすぎですっ！！イルア海賊団や、エース、エル、ライトとの別れが辛い！この作品大好きです！続編が出たら絶対読みます！ (2020年3月2日 13時) (レス) id: 114c5f5474 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：藍緒(アオ)
| 作成日時：2018年10月8日 14時
