番外編【ケンカ3】 ページ20
半袖で出歩ける時期といえど、曇ったり雨が降ると肌寒い時期。
半袖で出掛けてしまった私の体は雨にも濡れたことによってかなり冷えていた。
震える程ではないけど、濡れた服がピッタリと体にくっついて少し寒い。
雨に濡れている腕を擦りながら曲がり角を曲がると私はそこで立ち止まった。
『な…んで…』
雨に打たれながら家の前の壁によりかかる1人の男。
見覚えがありすぎるその姿を見た瞬間私は駆け出す。
手を引いて玄関の中に連れ込むとカバンの下の方にいれていたハンカチを取り出して濡れた頬や首を拭った。
『なにやってんの!?清春！
大会近いんでしょ…？
風邪引いたら元も子もないじゃない！』
私と同じ様に体が冷えて、服が体にくっついている清春。
髪の毛が結構濡れてたから長い時間外にいたことは見てわかった。
服は練習着のままだから私より薄着だ。
唇の色もあんま良くない。
ハンカチじゃ水も取り切れないし、私はお風呂場にある大きなタオルをとりに家に上がる。
その瞬間、手を引かれて清春の腕の中に包まれた。
『き、よ…はる？』
驚いて離れようとしても、清春は私を離すまいというように抱きしめる。
その手は微かにだけど震えていた。
それに気づいた私は動きを止めて清春の手の上に自分の手をのせる。
優しく撫でれば少しずつ震えが落ち着き、抱きしめる手が緩んだ。
「…ごめん。」
『…』
「ほんと…ごめん。」
『…うん。』
私の首元で謝りながら頭をぐりぐりと動かす清春。
それが可愛くてさっきまでの怒りが全部消えてしまう。
怒りたいのに、怒れない。
本当に清春はズルい。
たったこれだけで清春を許してしまうあたり、私は清春に相当惚れ込んでるなって。
絶対に言わないけれど。
私は体を清春の方へ向かせる。
髪の毛から頬に垂れてきた水を手で拭いながら笑いかけた。
『もういいよ。
また別の日にしよ？雨も降ったし。』
「…うん。」
目を細めて、嬉しそうに清春は返事をする。
その表情に不覚にも胸が高鳴ってしまった。
少しだけ赤くなってしまったであろう顔を隠すように後ろを向くと今度こそ家の中に入って行く。
クスクス、と笑われていたのはきっと気のせい。
＿＿＿＿＿＿
文字数もなく、後半は纏めてしまいました。すいません。
この後の展開は…ご想像にお任せします。
(本当はキスさせたかった)
番外編にお付き合いいただきありがとうございました。
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雅 - 昨日読み始めて気づけばこんなところに！ってなるぐらい面白いです！自分は専門学生ではありませんが、テストや実習は大変ですよね…。自分も勝手ながらですが応援しています！！頑張ってください！ (2018年9月25日 16時) (
レス) id: 71fc5da111 (このIDを非表示/違反報告)
藍緒(アオ)(プロフ) - ななしさん» コメントありがとうございます！楽しく読んでいただきとても嬉しいです(T_T)実習の合間に更新できればと思いますが…頑張ります。笑。応援ありがとうございます！ (2018年9月10日 0時) (レス) id: dccc59a57c (このIDを非表示/違反報告)
藍緒(アオ)(プロフ) - 結さん» コメントありがとうございます！テスト疲れました…更新を長い間待っていただき本当にありがとうございます。 (2018年9月10日 0時) (レス) id: dccc59a57c (このIDを非表示/違反報告)
ななし - いつも楽しく拝読しています。実習頑張ってください！勝手ながら応援しています！！ (2018年9月9日 20時) (レス) id: 5b7e532371 (このIDを非表示/違反報告)
結 - テスト大変ですね。私も今日テストだった……。更新お待ちしてます！！頑張ってください！！！ (2018年8月29日 22時) (レス) id: 280831b4cb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：藍緒(アオ)
| 作成日時：2018年4月24日 15時
