159話 ページ44
「かゆい。」
一斉に襲いかかろうと足を踏み出した私達はその一言で足を止める。
それと同時に背中に悪寒が走った。
何処かで、聞いたことがあるような声。
とてつもなく大きな邪気を孕んでいる、この声には物凄く聞き覚えがあった。
隣にいる磯貝も気づいたのか、声の主の方を見て固まっている。
「…連絡がつかなくなったのは…3人の殺し屋の他に身内にもいる。
防衛省の機密費…暗殺に使うはずの金をごっそり抜いて、俺の同僚が姿を消した。」
銃を向けて常に警戒しながら烏間先生が言った。
烏間先生の言葉。
聞いたことのある声。
私の知るなかでこの2つに当てはまる人物は1人しかいない。
「どういうつもりだ…鷹岡ァ！」
「……悪い子達だ…
恩師に会うのに裏口から来る。
父ちゃんはそんな子に教えたつもりはないぞ。
仕方ない…夏休みの補習をしてやろう。」
薬を爆発させるボタンを持ちながら鷹岡はくるりと振り返った。
目は見開かれていて濃いクマがある。
自分でかゆいと言いながらかいたであろうその
顔には何重にも引っ掻いた線が刻まれていた。
その線は頬にも、鼻にも、オデコにも。
狂気と憎悪が刻み込まれている顔面で鷹岡はグシャリと笑う。
それと同時に思い出してしまったクラスメイトへの苦痛の記憶。
厳しい肉体トレーニングを強要し、できなければ手をあげる。
何人も叩かれたクラスメイトがいた。
私も…鷹岡には、一度手を出されたことがある。
あの日の屈辱感は今でも鮮明に覚えていた。
今まで見たことがない笑顔で私達を見渡した鷹岡はその笑顔のまま屋上のヘリポートに出るように指示する。
「はは…補習か、楽しみだな…」
と不気味に笑いながら私達の横を過ぎた鷹岡はすぐ横にあった階段から上にのぼりはじめた。
戸惑いを隠せなかった私達だけど、行く他に選択肢はないから素直に鷹岡の後をついていく。
…鷹岡が持っているあのバッグの中に薬は入ってるんだろう。
爆弾もついている。間違いない。
今すぐにでもそのバッグを奪いさりたかった。
でも、それだと反対の手に持っているボタンを押されてこの作戦が水の泡になってしまう。
爆発で薬がバラバラになってしまう未来は安易に想像できた。
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藍緒(アオ)(プロフ) - 誤字がひどいですね…そのうち直します。報告ありがとうございます＼(^_^)(^_^)／ (2021年9月1日 14時) (
レス) id: d14d7c56b7 (このIDを非表示/違反報告)
迷い猫 - w (2021年8月26日 16時) (レス) id: 0f483562a2 (このIDを非表示/違反報告)
チア(プロフ) - 嬉しくないの？w (2020年5月14日 16時) (レス) id: 7dc97cfdeb (このIDを非表示/違反報告)
月読(プロフ) - 「彼女からのプレゼントなんて、貰って嬉しくないだろ？」になってます…笑 (2018年6月25日 18時) (レス) id: 720095c5ce (このIDを非表示/違反報告)
藍緒(アオ)(プロフ) - スノーホワイトさん» コメントありがとうございます。光栄です(*´∇｀)。そうなんですね！？検索させていただきたいと思います！お互いに頑張りましょう！(*´∇｀) (2018年5月28日 19時) (レス) id: 7a8e9f5abe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：藍緒(アオ)
| 作成日時：2018年3月24日 9時
