番外編【嫉妬4】終 ページ42
足に力が入らなくなった私は壁を伝いながら床に座り込む。
恐怖で震える体。
両手で震えないように抑え込んでいると、ふわりと心地よい温かさに包まれた。
この温かさ。
この香り。
赤い髪の毛。
カルマはきつく私を抱きしめる。
そしてカルマの手も少しだけ震えていた。
「ねぇ、A…俺に、チョコは無いの…？
磯貝にあげるの…？」
弱々しいカルマの声。
ここまで言われて私は初めてカルマが怒っていた理由に気づいた。
カルマをこんな顔にさせてしまったのも私。
不安にさせてしまったのも私。
私は自分を支えていた手を伸ばしてカルマを抱きしめた。
背中をポンポンと優しく叩きながら経緯を全部説明する。
チョコは作ったけど美味しくできなかったこと。
持ってきたけれど渡せなかったこと。
このチョコはカルマ宛のチョコだということ。
『やっぱり彼女としてはさ…美味しいの食べて欲しいじゃん。
カルマは他の人からいっぱい貰ってたし、自信なくなっちゃって。』
自嘲しながらそういえばカルマは「バカかよ…」と呟いてさらにきつく私を抱きしめた。
「彼女からのプレゼントなんて、貰って嬉しくないだろ？」
私の頬を撫でてそう言うと満足そうに笑った。
ああ、この顔好きだな…
目を細めて、少しだけ口角を上げて笑うカルマの顔。
全部、好き。
私は抱きしめていた手を緩めると後ろに隠していたチョコを取り出した。
『美味しくないよ。』
ってぶっきらぼうに渡してもカルマは嬉しそうにしてる。
「いいよ。
彼女からのだもん。
ありがとう。」
食べていい？
聞いてくるカルマに静かに頷く。
リボンを解いて中から少し崩れたチョコが取り出された。
カルマはすかさず一口、口に放り込むと美味しそうに食べはじめる。
『お、…おいしい？』
恐る恐る聞けば「ん、そうだなぁ…」って答えられる。
やっぱり美味しくなかったんだ…
肩を落として視線を床に落とす。
すると不意に腕が引っ張りあげられた。
驚いて顔を上げるとそのまま互いの唇が触れ合う。
私の開いたままの口にチャンスだと言わんばかりに入りこんでくるカルマの舌。
同時に口に広がるチョコの甘ったるい味。
散々好き勝手にやられてやっと口が離れた時にはチョコは完全に溶けていた。
手で口を拭いながらカルマを睨みつけると悪戯っ子のような笑顔を浮かべながら
「美味しくなったよ？
ごちそうさま。」
って。
…絶対来年はあげない。
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藍緒(アオ)(プロフ) - 誤字がひどいですね…そのうち直します。報告ありがとうございます＼(^_^)(^_^)／ (2021年9月1日 14時) (
レス) id: d14d7c56b7 (このIDを非表示/違反報告)
迷い猫 - w (2021年8月26日 16時) (レス) id: 0f483562a2 (このIDを非表示/違反報告)
チア(プロフ) - 嬉しくないの？w (2020年5月14日 16時) (レス) id: 7dc97cfdeb (このIDを非表示/違反報告)
月読(プロフ) - 「彼女からのプレゼントなんて、貰って嬉しくないだろ？」になってます…笑 (2018年6月25日 18時) (レス) id: 720095c5ce (このIDを非表示/違反報告)
藍緒(アオ)(プロフ) - スノーホワイトさん» コメントありがとうございます。光栄です(*´∇｀)。そうなんですね！？検索させていただきたいと思います！お互いに頑張りましょう！(*´∇｀) (2018年5月28日 19時) (レス) id: 7a8e9f5abe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：藍緒(アオ)
| 作成日時：2018年3月24日 9時
