89話 ページ10
「だめだよそんな遅いスイングじゃ。
次はさぁ？
殺すつもりで振ってごらん。」
不敵な笑みを浮かべながらカルマは進藤に語りかける。
進藤は冷や汗だらだら。
震えてるのがここからでもわかる。
理事長の戦略に体がついていかなくなったこともあるし、
カルマ達に対しての得体のしれない恐怖もあるんだろうね。
ほら、腰が引けてる。
そんな進藤に杉野は容赦なく球を投げた。
力の入っていない進藤は辛うじて球を打ったけど球は見事にカルマの真上に飛ぶ。
カルマは軽くジャンプして球を素手で取るとキャッチャーである渚のグローブに投げた。
「
「渚！そのボール三塁へ！」
審判の声を聞くと杉野はすかさず渚に指示。
三塁にいる木村は渚の球を受け取ると杉野の指示を聞いて一塁に投球した。
「進藤走ってないから焦んなくていいぞ！」
木村の投げた球は2回3回バウンドして菅谷のグローブに収まる。
さて、ここまでで取ったアウトの数は3回。
「
…ト、トリプルプレー…
ゲ、ゲームセット…！」
「やったー！」
「男子すげぇ！」
審判の合図を聞いたE組は歓喜の声を上げる。
この試合、3対2でE組は野球部に勝利した。
投げっぱなしの杉野は「やっとかぁ…」と呟き安堵の表情を浮かべる。
他のE組の皆もハイタッチとかをして喜んだ。
それとは対象的につまんなそうにしていたのはこの試合を見に来ていた観客達。
殆どの人ががっかりしながら本校舎に戻っていく。
野球部ベンチに座っていた理事長も無言でその場を立ち去った。
理事長の背中を暫く見つめていた私だけど急に腕を引かれて後ろによろめく。
ぽすり、と収まった場所はとても心地よく私のよく知ったカルマの腕の中。
『ん、お疲れ様カルマ。』
「んー。」
『どうしたの？』
グリグリ、と私の肩に頭をこすり付けてくるカルマ。
そして私のことを力強く抱きしめた。
甘えたカルマの日なのかな。
珍しい。
その後もなかなか離れないカルマの頭を私は撫で続ける。
後日、その時の写真を莉桜が撮っていて暫くネタにされたのは言うまでもない。
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迷い猫 - " 気の枝" じゃなくて" 木の枝"ですヨ (2021年8月26日 15時) (
レス) id: 0f483562a2 (このIDを非表示/違反報告)
怜 - 偽名さん» わかる (2021年8月16日 15時) (レス) id: 99ce1d82a1 (このIDを非表示/違反報告)
偽名 - 何度も見返してるけど、何度見ても『俺の女に手を出すな』好き。 (2020年5月6日 21時) (レス) id: 60ccd0f591 (このIDを非表示/違反報告)
ともか(プロフ) - 細かいのですが英語の瀬尾くんの順位は上に3人いるので4位ではないでしょうか…？細かくてすみません！！このお話はとても面白くて大好きです！！これからも続編楽しみにしています！！ (2019年2月6日 17時) (レス) id: 1b1bc6c95d (このIDを非表示/違反報告)
花(プロフ) - 祝100話ですね！これからも頑張ってください！たのしみにしているので、更新頑張ってください！ (2018年2月23日 1時) (レス) id: abbcc731c5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：藍緒(アオ)
| 作成日時：2017年12月10日 10時
