第二百七十二話 ページ35
食堂が近づくに連れてどんどん声はうるさくなる。
負けるなー、とか。
頑張れー、とか。
なんかの勝負？
興味本位で扉を開けると声がより一層大きくなった。
食堂の真ん中辺りには人だかり。
誰かがあそこで勝負してるの？
よく見ると高く積み上げられた皿。
それを見た私は『大食い競争か。』と一人で納得する。
皆真ん中に群がってるから席自体は沢山開いていたけど、厨房が今大変そうだ。
お腹すいだけど私はこの争いが終わるまで待つことに。
「兄ちゃんなんかに負けるなー！
お前はこの国で一番の大食いなんだ！」
「そうだ！兄ちゃんなんかやっつけちまえ！」
「兄ちゃんもなかなかやるじゃねえか！これはわかんねえぞ！」
「兄ちゃんこの国の外のやつだろ？
外の国にこんな奴がいたなんて驚きだな！」
いろんな人が応援している間にもどんどんお皿は積み上がっていく。
応援している人の話を聞く限りだと、対戦中の2人のうち1人はこの国の人でもう1人は別の国の人らしい。
応援の声に耳を傾けながら対戦が終わるのを待ち続ける。
かれこれ私が来てから10分。
なかなか終わらない、と思っていた時に状況が変わった。
「おい！兄ちゃんはまだ余裕そうだぞ！
クルイ、大丈夫か？」
「クルイ頑張れ！」
クルイという人の食べるスピードが急に弱まる。
お皿が増えない。
そのうちにガシャン、と大きな音がしてクルイの皿は増えなくなった。
勝敗が決まった。
「ク、クルイが負けた！」
「兄ちゃんすげえ！やるな！」
響き渡る称賛の声。
厨房も落ち着いてきたから、あと少しで注文をしに行こうかな…
その前に勝者の顔でも拝んでおこう。
そう思って私は席を立ち上がり散らばり始めた人のところへ向かう。
少しずつ見えてくる勝者の姿。
オレンジ色の帽子。
背中のタトゥー。
黒いズボン。
知ってる、私はこの人を、知ってる。
少しずつ歩く速さが早くなる。
顔を見た時、私は確信した。
三年前にわかれた、私の兄姉(きょうだい)
『エース！』
「誰だ……っ、ぁ、…A!?」
三年ぶりのエース。
私は勢い良くエースの胸に飛び込んだ。
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藍緒(アオ)(プロフ) - マリンさん» コメントありがとうございます。昔の作品ですがお読みいただき嬉しいです。自分があの頃何を思ってこの小説を書いていたのか正直記憶があまりありません。詳細が書いていないということは曖昧にさせたかったのだと思います。所謂『想像にお任せします』という形です… (2022年4月16日 19時) (
レス) id: d14d7c56b7 (このIDを非表示/違反報告)
マリン - 質問なのですかイルア達と船に乗っていた子供たちはどうなったのでしょうか..... (2022年3月23日 9時) (レス) @page4 id: 8cedf2cd4c (このIDを非表示/違反報告)
藍緒(アオ)(プロフ) - 翠輝さん» レスが遅くなってごめんなさい。いえ！とても嬉しかったです！細かい所まで見てくださる方がいて！本当にありがとうございました(^O^) (2017年2月2日 0時) (レス) id: 7a8e9f5abe (このIDを非表示/違反報告)
翠輝(プロフ) - いえ、私こそ偉そうにすみません…。主人公の活躍が楽しみです。 (2016年12月30日 19時) (レス) id: bfcd9a4d58 (このIDを非表示/違反報告)
藍緒(アオ)(プロフ) - 翠輝さん» コメントありがとうございます。コメントを見て、ものすっごく納得しました。言われてみれば懸賞金の上乗せは七武海に加入した時点で止まりますもんね…全然考えていませんでした。アドバイスありがとうございます！ (2016年12月26日 0時) (レス) id: 7a8e9f5abe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：藍緒(アオ)
| 作成日時：2016年11月20日 12時
