検索窓
今日:2 hit、昨日:0 hit、合計:12,870 hit

1.ループ ページ1

「は、」

たった今起きた現象に思わず声が出てしまい、車の助手席に座っている母が「どうしたの?」と声をかけてきた。

「…今からどこ行くんだっけ?」

太陽は沈んだが、まだ少しだけ明るい空を見ながら車を運転している父に問えば、笑いながら「ハンバーグを食べに行くんだよ」答えた。

いや、この前も食べたじゃん。なんて野暮なことは言わない。車内の巻き戻ったデジタル時計が、全てを物語っていたから。


輪廻転生を果たし、この世界で新垣Aという新しい名前をもらって11年。それなりに平穏に過ごしてきたが、イレギュラーがあるとしたら前世の記憶があることぐらいだろう。

だからと言ってどうということはなく、周りの大人達から「Aは大人しいね」というお言葉を貰ってすくすくと育ってきた。

だから、時間が巻き戻ったことなど誤差に過ぎず、ワーワーと喚くような性格も精神もしていない。

後部座席に座っているAは楽しそうに話す両親を見ながら、どうしたものかと暗くなり始めた窓の外を見た。



例え、近所の「ばはぁ♡」と独特な笑い方をする1つ年上の問題しか起こさない悪ガキにウザ絡みされようと、「はは、暑い、離れて」と相手にせず適当にあしらうAでもこれは許せなかった。

「呪うぞ神様。」
「A?」
「何でもない。ハンバーグ楽しみー。」

棒読みになってしまったが、仕方の無いことだった。Aは騒ぎこそしないが、心の中でこの世のどこかにいる神様に悪態をついた。

だって、三回目なのだ。三回も同じ時間を繰り返そうとしている。悪態だってつくだろう。


Aは二回目の時に何かしら原因がある筈だとある程度の事を調べたが、結果として収穫は無しだった。

あるにはあったのだが、時間が合わないのだ。

とある町のとある家で火事があり、その家の長女が重症で病院に運ばれた。それが、丁度A達がその町のレストランでハンバーグを食べている時だった。

Aも帰りに消防車と救急車のサイレンの音を聞いていたから、場所としてはレストランから近いだろう。

時間が巻き戻るタイミングは、それから3日後。時間がまったく合わない。長女がお亡くなりになったのが3日後とか?そんな時間差あるか??

Aはハンバーグを食べながら考えていたが、これでは埒が明かないと両親にはトイレに行ってくると言ってこっそり外に出た。

2.火事→



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (67 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
126人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

杜綦(プロフ) - 同じく面白くて何回も見直してみてしまいました! (2021年12月18日 12時) (レス) @page12 id: d8bb1d3459 (このIDを非表示/違反報告)
ココア(プロフ) - え、面白すぎて一瞬で読み終わりました。え、面白すぎて一瞬で読み終わりました。(大事なので2回言いました。) (2021年12月9日 15時) (レス) @page11 id: cf75b8a6ce (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:朱魏 | 作成日時:2021年9月11日 9時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。