11 Yuta ページ12
「うん。いいじゃない。」
部長がうなずく。
やっと初めて自分の企画が通った。
ここ最近は渡辺さんに喝を入れられながら、我ながらよく頑張った。
「さすが渡辺さん。きっちり結果出すね。」
「いやいやいや！私じゃないです！全部神宮寺くんの企画なので！神宮寺くんの頑張りですよ！！部長。」
そんなことない...いろいろ渡辺さんが指導してくれたからできたことだ。
部長室を出る。
「あの、渡辺さん。ありがとうございました。」
「何言ってんのよー。頑張ったじゃん。この調子で次も頑張ろう。でね、神宮寺、」
渡辺さんが自分の髪を触りながら、
「髪、そっちの方がカッコイイじゃん。」
最近、セットするのが面倒になって、髪の毛を下ろしていた俺。
「え？」
「なんか自然体になってさ、もともとビジュいいけど、ますますいい感じになったんじゃないの？」
「そうですかね...」
「うん。ふっかと美希の取り合いしてた頃より、確実に感じ良くなったよ。」
「...知ってたんですね。」
「当然っしょ！まぁ、あの時も断然ふっかよりあんたの方がイケてたけどね。私なら迷わずあんた選ぶわ。」
「...ありがとうございます。別に嬉しくないですけど。」
「はーそういうことよ！可愛くないわ！素直に喜びなよ。」
「はあ。」
「まぁ、今日は定時に帰ってゆっくり休みな？」
「え、いいんですか？」
「いいんです！ほら、早く帰りな！！」
「じゃ、お先に失礼します。」
玄関を出る直前。
胸ポケットのスマホが鳴る。
永瀬からだ。
「もしもし、神宮寺。お疲れ！」
「おー、お疲れ。俺、今日は久々定時退社！」
「そーなんや...あのさ、申し訳ないんだけど、」
「何？」
「ちょっと、頼まれごとしてくれへん？」
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作者名：Momanao | 作成日時：2019年4月13日 23時
