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うれし恥ずかしお見合いの日。
照さんに引率され、料亭の一室へ。
パコーン！とししおどしの音を聞きながら、先方が来るのを待つ。
「俺のことは全然気にしなくていいから、向井先生の思うようにしてね。」
緊張している俺に照さんが話しかける。
「ありがとうございます。今のところお受けする気マンマンですけど？」
「ならよかった(笑)。あちらも向井先生のこと気に入られてるみたいだよ。」
「ほんまですか？紬さんの写真のおかげやな(笑)。」
「失礼いたします...お連れ様、いらっしゃいました。」
仲居さんの声がして、初老の男性と和服姿の女性が入ってきた。
「岩本くん、遅くなって申し訳ない。」
「いえ、こちらも今来たところです。今日はよろしくお願いいたします...で、こちらが」
「初めまして、向井康二と申します。」
照さんの挨拶に続き、俺も頭を下げる。
「初めまして...長尾Aといいます、よろしくお願いいたします。」
少しか弱い声がして、顔を上げる。
写真で見た彼女が、はにかんだ笑顔で俺を見ていた。
橙色の着物が、よく似合っている。
「はい！こちらこそよろしくお願いします！！」
返事をした俺の声は、部屋中に響いたようで...
「さすが先生だな、元気がよくて何より(笑)。」
お連れの社長さん？が笑いだし、照さんも、Aさんも笑い出した。
「はい！それも生徒がやんちゃ坊主ばっかりなんで、毎日こんなふうに怒鳴ってばかりです！」
俺のボケがよかったのか、その後の会食は楽しく進んだ。
「じゃあそろそろ...なぁ、岩本くん。」
「そうですね、あとは若いお2人に...ね、向井先生？」
「あ、はい！じゃあ...長尾さん？」
「は、はい。」
「もしよかったら、このあとどこか行きませんか...あ、着物しんどいですか？」
目を丸くしていた長尾さんは、にっこり笑った。
「いえ、なんとか大丈夫です(笑)。はい、よろしくお願いします。」
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作者名：Momanao | 作成日時：2021年2月8日 22時
