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「お見合いに行ったものの、後先のことなんか全然考えてなくてその上慣れない着物がキツくて苦しくてパニックになってたんだけど、」

「へ、そうなん?」

「でも目の前の康二さんは写真のまま、話していくうちに明るくて面白くて、みんなを笑顔にさせる素敵な人だなってどんどん惹かれていく反面、どうやって私の今の状況伝えようかずっと悩みながらご飯食べて、お開きになって公園誘われて。」

「...そんなん考えてたんや。」

「どんなタイミングで話そうとかいろいろ考えてるときに、康二さんはずっと優しくて笑ってくれてて...背中、広くてあったかで...康二さんに交際の話をしてもらったときに、もう1度だけ、人を好きになってもいいのかなって。」

「...それで、」

「楽しかった、会えない日は本当に寂しくて、LINEがくるのが嬉しくて、やっと会えたらもっと嬉しくてどんどん好きになっていって...ずっと康二さんと一緒にいたい、幸せになりたいって。」

「なら、どうして黙ってたん?」

「...本当のこと言ってまた同じことになるのが怖かったから。それと、康二さんと一緒になって今の生活を続けることは難しいかなって。」

「...どういうこと?」

「...パラリーガルをしながら勉強続けて試験を受けて、弁護士になる。」

「へ、弁護士?」

「でもそれも、もういいやって。パラリーガルは辞めて大好きな康二さんと結婚して、康二さんが安らいでくれる家庭を築きたいって...でも、でも、でも!!」

「うん!何?」

「長瀬くんと出会って、困ってること悩んでることたくさん聞いて...やっぱり私、諦められないって気がついたの、弁護士になって困ってる人の手助けが少しでもできるようになりたい!」

Aちゃんは俺に深く頭を下げた。


「だからごめんなさい!!結婚は、できません!あと、送ってくれてありがとう!!」

涙目でそう言うと、Aちゃんは車から降り、コーポの階段を駆け上がった。

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作者名:Momanao | 作成日時:2021年2月8日 22時

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