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長瀬くんのアパートの下で、お母さんは待っていてくれた。
「大変お世話になりました！あの、ぜひ家にいらして下さい！」
「いえいえ、ここで失礼、」
「いえいえいえいえ！狭い家ですけどぜひ！」
Aちゃんと顔を見合わせる。
「...帰り、送るから。」
「...それは気にしないで。」
お母さんと長瀬くんに笑ってみる。
「じゃあせっかくなんで...ちょっとだけ。」
長瀬くんの家は、2人暮らしになって日が浅いのがよくわかる。
「うお...すごい。」
出してもらったカフェラテには、雪だるまのラテアートがしてあった。
「今練習中なんです...まだこれしか出来ませんが。」
「美味しそうです...いただきます！」
カフェラテをいただきながら、これまでの経緯を話す。
「そんなことに...私、全然知らなくて...お2人に助けていただかなかったらもっと酷いことに...本当になんてお礼を言えばよいか...それと結星、」
お母さんは長瀬くんを見た。
「お母さん目の前の生活のことでいっぱいいっぱいで...大変な思いさせて、ごめんなさい。」
「気にすんなって(笑)。急に息子とほっぽり出されたんだもんな、そりゃいっぱいいっぱいにもなるってことよ。」
「え、どういうこと...失礼ですが、」
「あの...お恥ずかしい話なのですが、主人とは別居中で。」
「訳分かんねーよな、いきなり出ていけ！って暴れだしてさ、ろくすっぽ金もくれてないんだろ？なんだかんだ言い訳並べてよ...最低だよアイツ。」
「結星ちょっと待ってて...もう少し落ち着いたらちゃんと話し合いして、」
「話し合いなんていつになるんだよ、」
「その話より今はアナタのこと、」
「あの！」
Aちゃんが突然大きな声を出した。
「あの...ずっと...ずっと我慢してたんですけど...」
「Aさん、どうしたの？」
「Aちゃん、トイレか？」
「違う！！あの...あの...長瀬さん、」
「はい？」
「長瀬くんのブラックバイトの件、お母さんの離婚問題の件...お手伝いさせて、いただけませんか？」
「へ？」
「申し遅れました、私、こういう者です。」
Aちゃんがバッグから名刺入れを出す。
「...城島法律事務所、」
「で、パラリーガルをしております、長尾と申します。」
パラリーガル...？
俺の隣で、一気にカフェラテを飲むAちゃんを呆然と見る。
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作者名：Momanao | 作成日時：2021年2月8日 22時
