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「ごめんなさい遅くなって...待った?」

「いや、俺が早く来すぎたんや...気にせんといて。」

Aちゃんが俺の前に座り、ひと息ついた。

「久しぶりだね、一緒にご飯食べるの...あ、少し飲む?」

「いや、今日は飲まへん。」

「え、そうなの?でもまだ飲むには時間早いか(笑)。じゃあ何食べる?」

差し出してくれたメニュー表を、もとに戻した。

「康二さん?」

「食べる前に、ちょっと話せぇへん?」

「え、うん。」

俺が姿勢を正すのを見て、Aちゃんも改まる。

「あんな...これからのことなんやけど。」

「あ...それはゆっくり、」

「別に焦って具体的に決めようってことやないんや。でもな、このままじゃ多分どんなに時間かけても前に進まん気がする...というか、無理や。」

「無理...」

「ごめん、ちょっと言い方キツかったかな。Aちゃん、今夜俺の家来て?」

「え、それはちょっと...何も準備してきてない、」

「じゃあ、俺が行ってもいい?」

「え、いやそれは、」

「...やっぱり(笑)。」

「なに?」

「やっぱりな。俺の思った通りや...Aちゃんは、絶対俺と距離を縮めようとしない。」

「そんなことない、」

「いや、俺のことを理解しようとしない、Aちゃんを理解させてくれようとしない、結婚しようって言ってるのにお互いのことこんなに分かり合えてない、そんなん普通か?俺は違うと思うわ!Aちゃんのことわからんまま一生苦楽を共にできる自信が、俺にはないんや。」

俺の話を黙って聞いているAちゃんの鼻が赤くなっているのに気が付き、少し平常心を取り戻す。

...さっきからずっとAちゃんのスマホが鳴っている。


「...電話、出たら?」

「...へ、あ!ごめんなさい。」

慌ててスマホを見るAちゃんが、俺を見た。

「...長瀬くんから。」

「長瀬?どうしたんや?」

「最近調子悪いって言ってたから...ごめん、出るね。」

しばらく話していたAちゃんが、またまた俺を見た。

「なんかバイト先であったみたい...あの、こんな時に申し訳ないけど、今近くにいるみたいだから合流してもいい?」

「...もちろんや。」

ありがとう!と頭を下げ、電話に向かって話かける。

「長瀬くん、私今駅前のレストランにいるの、向井先生も一緒だからこっち来れる?」

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作者名:Momanao | 作成日時:2021年2月8日 22時

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