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「ほうか、教え子がパパにねぇ...おらー、ダラダラ走んな！」
「そうなんすよ...俺も嬉しいんすよ？でも...あー！なんでそこでパスしてまうんや！！」
今日はA高校との練習試合。
あ、言い忘れてたけど俺これでもサッカー部の顧問。
本当はテニス部がよかったんやけどなぁ...
ま、うちの高校男子テニス部しかないから別にいいけど。
ちなみにA校の顧問は大学時代の先輩、室龍太先生。
今でも結構可愛がってもらってて、こうやって練習試合なんかもよく組んでくれる。
「ま、結婚なんてタイミングやからな...焦らんでもいいんちゃう？」
「俺もそう思ってたんですけど...最近俺の周り幸せな人ばっかりで...ほら、先生だって新婚さんやないすか！」
「...で、寂しくなってる、と。」
「...はい。」
「じゃあお前も結婚したら？適齢期じゃん。」
「相手もおらんのにどーやってするんですか？」
「え、お前彼女いねーの？」
「...はい、もう久しく。」
室先生の隣で、がっくり肩を落とす俺。
「そうなんや...お前イケメンやから取っかえ引っ変えしとるのかと思ってたわ。」
「なわけないでしょ！出会いもないし、仕事にばかり追われる毎日ですよ。」
「龍太先生！向井先生！」
試合が終わったらしい、A校の女子マネージャーが走ってきた。
「おう、無事に終わったか。」
「はい、で、今日は差し入れにドーナツ焼いてきたんです...あの、よかったら向井先生食べて下さい！」
可愛らしい袋を俺に恥ずかしそうに差し出すマネージャー。
「え、俺に？ええの？」
「はい！向井先生に食べて頂きたくて作ってきたようなものなんで！」
「うわーありがと。こんなんしてもらって...あ、なんかお礼せなあかんな。」
「いえいえお礼なんてそんな...でも、もしよかったらLINE交換、」
「アカーン！！」
マネージャーと俺の間に龍太さんが割って入る。
「お前教師の前でなにナンパしてんねん！それもアラサーの寂しい独身を...これで間違ってどうにかなったら大問題やぞ！！危ない危ない！さっさと帰れ！」
「ちぇっ...ムロうっざ！！」
途端に表情を変え、去っていくマネージャー。
「おい康二！お前もボーッとしてんな！！下手したら仕事失うとこやったぞ！結婚どころじゃないぞ！」
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作者名：Momanao | 作成日時：2021年2月8日 22時
