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「じゃ、これで支払うね。」
「Aちゃん、ゴチになります!」
レジに並ぶAを、猪狩が呼び止める。
「おい松村!これも買ってくれ!」
「肉まんね...美味しそう、すみません肉まん5つも追加で!」
「...松村、松村、アナタ、松村さん?!」
突然レジの店員さん(ヘビメタ系のド派手な髪色のお姉さん。ちなみにドクロのネックレスと指輪使用)がAを見て叫ぶ。
「へ、何、何ですか!!」
驚きと恐怖で後ずさりするAに、お姉さんが興奮気味に話す。
「あ、私です!北斗くんにこっぴどく振られて家の前で泣いてた私に優しくして下さって...ほら、公園で一緒におやつ食べてラジオ聴いて、」
「...あ、あの時のお姉さんですか?うわぁー、見違えててわかりませんでした。」
「はい、あの時一緒に聴いたラジオのKISSにあの後ハマりまして...今、バンドしながらアニキのライブハウスを手伝って、あ、今は訳あってここでバイトしてます。」
「そうなんですか...私も今バンド活動してて、いつか対バンお願いします!」
その後缶コーヒーをおまけしてもらい、上機嫌でコンビニを出るAの後ろを歩く俺たち。
「なぁ...あの人、アニキがライブハウスやってるって。」
「...北斗さんに、人生狂わされた妹さん?」
「...ある意味そうかも。でも、あの人Aちゃんに感謝してるっぽかったよ?」
「そうだね...A、なんだか可哀想。」
俺たちの前を歩くAが、また立ち止まった。
道路脇の工事現場をじっと見つめている。
「どうした?」
Aに追いつくと、一緒に工事現場を見る。
視線の先には、なれない様子で作業をしている瑞稀さんがいる。
「...かなり弁償費用かかるみたいだよ?」
「少々キツくても、割のいいバイトしなきゃね。」
「まぁ俺たちの知ったことか!おい、松村行くぞ。」
猪狩の声掛けを無視して、瑞稀さんを見るA。
「A、もう関係ないでしょ、行こ?」
森口さんの手を振り払い、Aが工事現場に近づいていく。
「瑞稀さん!!」
Aの声に気づき、瑞稀さんは顔を上げた。
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作者名:Momanao | 作成日時:2021年1月4日 1時