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「...つまり、瑞稀さんが俺たちと松村がつるむのを嫌がってるんだな。」
「...要は、嫉妬してしまうってことなのかな?」
「僕たちと、Aちゃんのことに?」
うわーアホらし!とひっくり返る猪狩に、呆れ顔で笑い出す龍我くん。
そして、ポカンと口を開けている龍斗くん。
「瑞稀さん、考えすぎじゃね?」
「そうだよ(笑)。Aちゃん話してないのかな、高校時代のこと。」
「だろ?こっちは散々迷惑かけられて醜態も見せられてきてるんだぞ?ただただ無意味につるんでたダチだっちゅーの!」
「そうだね、Aちゃんだってそう思ってると思うよ?」
「それを今さら女子として意識なんかするかいな。な、龍斗?」
「...へ、」
「おい!ぼーっと茶飲んでんじゃねーよ!今の話聞いてたのか?」
「あ!うん、聞いてた聞いてた!うん、みんなに同感。」
慌てて龍斗くんは頷いている。
「...まぁ、都会の女の私が思うに、そのAちゃんの彼氏とやら、めんどくさくない?」
「...ん?」
突然後ろから声がして、振り向くと龍斗くんの勉強机でまきさんがコーヒーを飲んでいる。
『うわぁー!!』
まるで妖怪でも見たかのように飛び上がって驚く私たち。
「おい!黙って入ってくんなって言っただろ?!」
「今度はちゃんとノックしましたー!でも龍斗たち話し込んでて気が付かないんだもん。」
「まきさん、赤ちゃん泣いてたんじゃないですか?」
「え、だから連れてきた。」
まきさんの指差したベッドの上には、小さな赤ちゃんがスヤスヤと眠っている。
「...慧多まで、いつの間にだよ...」
小さな、色白でスッキリした顔立ちの赤ちゃんは、渡辺慧多くんという。
新米叔父さんと、その友人3人で慧多くんを覗き込む。
「なんだかけーた、龍斗のことが好きみたいよ?ほら、ベビーベッドじゃちっとも寝ないくせに龍斗のベッドじゃよく寝てる。」
「...小さいね。可愛い。」
「でもちゃんと爪まで生えてるんだね。すごいなぁ。」
「なんだかいい匂いするな、赤ちゃんて。」
寝ている上でガヤガヤしてたもので、慧多くんが目を開けた。
「あ、起きた。」
「目開けたら、翔太さんにそっくりだな。」
「あ、泣いちゃう?」
「ねーちゃん!慧多起きた!」
「えぇー?やっとゆっくりコーヒー飲んでたのにさ...」
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作者名:Momanao | 作成日時:2021年1月4日 1時