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龍斗くんは恐いと言いながらも、スムーズに運転している。
「ところでよ松村。」
助手席でずっとグミを食べていた猪狩が、後ろを向いた。
「何よ。」
「よく今日来られたな、お前。」
「え、なんで?」
「いや、瑞稀さんよく許してくれたなって。」
私も気になっていたものの、聞くべきかどうか迷っていたことだ。
やるじゃん猪狩、たまには人の役に立つ。
ミラー越しに、龍斗くんがチラッと後ろを見た。
「うん、瑞稀さん昨日から実習でいないから。」
「そうなんだ、そりゃ好都合だったな。」
「うん、だから今日は久しぶりはめを外すぞ!あ、音楽流してもいい?今日のためにプレイリスト作ってきたんだ!」
「お、松村にしては気が利くじゃないか!」
音楽に合わせて楽しそうに口ずさむ猪狩とA。
さっきから黙っていた龍斗くんが、口を開いた。
「A...今日のことは、瑞稀さんには話してきたの?」
「え?あ、う、うん!」
「ホントに?」
「もちろん!!友達と出かけてきますって。」
「友達って...森口さん、」
「そう!」
「...に、猪狩に、俺。」
「......」
「...のことは、言ってない?」
「いいじゃないかそんなこと別によ!てか休日誰と過ごすとかいちいち彼氏に報告するか普通?」
「そうだそうだ猪狩の言う通り!!龍斗気にしすぎだよー(笑)。」
「...そうかな...それで、平気かな...」
「平気だって!!あのさ、瑞稀さんそこまで私に執着してないから!」
「逆にそこまで松村に執着してたら恐怖だわ。」
「猪狩なんかそれカチンとくるね...ちょっと表出るか?」
「おう、やるか?」
助手席と後ろで猪狩とAが睨み合っている。
「またまたAと猪狩は会えば必ずこうなる...まぁコソッと行って帰ってきたらいいじゃん!ね、龍斗くんも、そういうことで。」
「森口さんが言うなら...そうだね、バレなきゃいいもんね。」
「そうだよ龍斗は余計なこと考えずに運転に専念しろよ...あ、もうすぐ大きな交差点右折な。」
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Momanao(プロフ) - 華子さん» コメントありがとうございました!これからも頑張ります!! (2020年12月18日 22時) (レス) id: a8ed6fc393 (このIDを非表示/違反報告)
華子(プロフ) - 矢花くんの作品が読みたくて検索していたところ偶然見つけました。読んでみたら面白く、最初のシリーズから読破してしまいました。シリーズものでこんなに内容がしっかりしていて面白いものは久々でとてもワクワクしています。素敵な作品をありがとうございます。 (2020年12月17日 12時) (レス) id: c812437f0f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Momanao | 作成日時:2020年10月11日 16時