32 ページ33
どうにか家にたどり着く。
リビングのソファーに倒れ込む。
...今日は延期してもらっていた龍斗とご飯を食べる予定だった。
でもさすがに無理だ。
行ったら龍斗と店の人に迷惑しかかけない。
はたまたドタキャンで申し訳ないけど、仕方ない。
まだ仕事中だろう龍斗に断りのLINEを送り、力尽きる。
...どれくらい意識が飛んでたのか、着信音で目が覚める。
『もしもし、龍斗...ごめん...』
『もしもし？大丈夫？』
電話の向こうからは龍斗の少し慌てたような声。
『うん。どうも体調がよろしくなくて、今日早退させてもらったの。』
『え、そんなに酷い状況なの？』
『いやいや、いつも元気だから周りの先生がびっくりしてね。でも、今日はちょっと出られそうにない。本当にごめん、何度もキャンセルしちゃって...』
『そんなのいいから！それより1人で大丈夫か？』
『うん。とりあえず楽になるまで寝るよ。』
『...分かった。何かあれば連絡しろよ。』
『うん、ありがとうね...』
電話を切ったあと、気力で着替えをすます。
が、2階の自分の部屋までもは行く元気はなく、再びソファーに横たわる。
人気のないリビングに、私の咳の音だけが響く。
一人暮らしになって初めて、家族のことなんか思い出してみる。
病気のときはとにかく栄養をつけて！と鰻やお寿司を食べさせてくれた両親。
でも、何気に北斗が作ってくれた雑炊が1番美味しかったなー。
みんな、元気にしてるかなぁ。
久しぶりに、会いたいなぁ。
...何だか、寂しい。
周りの景色が、だんだんと涙でぼやけていく。
あー情けない、大人なのにこんなことで泣いちゃうなんて。
家にいるのにホームシックなんて、北斗に知られたら絶対バカにされるんだろうな。
咳の音に、鼻をすする音が加わる。
"ピンポーン"
突然インターホンが鳴る。
だれ？
「...龍斗？」
モニター越しに、龍斗が見えた。
ゆっくりドアを開ける。
「大丈夫？心配だったから一緒に食べようと思っていろいろ買ってきたんだけ...」
龍斗の顔を見た途端、視界が真っ白になった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 56人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Momanao(プロフ) - めろんぱんさん» おぉリクエストありがとうございます！！前向きに検討してみますね！いつも応援ありがとうございます！！ (2021年4月6日 21時) (
レス) id: a8ed6fc393 (このIDを非表示/違反報告)
めろんぱん(プロフ) - はじめまして！02世代シリーズが大好きで何度も読み返してます！作間くんが上京せずに地元の大学に決めた経緯や、自転車〜高校卒業エピめちゃくちゃ気になります、、。機会があればぜひ読みたいです。これからも更新楽しみにしてます！ (2021年4月6日 20時) (レス) id: 3589a32c79 (このIDを非表示/違反報告)
Momanao(プロフ) - ときめきがとまらない...考査が終わったので更新頑張りまーす！ (2019年11月29日 23時) (レス) id: a8ed6fc393 (このIDを非表示/違反報告)
おかゆ(プロフ) - うっっっときめきが……（ ; ; ） (2019年11月29日 22時) (レス) id: 5c32bba385 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Momanao | 作成日時：2019年10月19日 13時
