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(優太Side)
Aさんから、LINEがきた。
"パーカー、返しに行きます。いつが、いいですか?"
"いつでも大丈夫です。Aさんに、合わせます。"
ほどなく、
"せっかくだから、ご飯でも、行きませんか?"
え?俺と?
"いいんですか?"
"岸くんがよければ(笑)。"
待ち合わせの時間の10分前に到着してしまい、ソワソワしながらスマホをいじっている。
すると後ろからトントンと誰かが背中をつつく。
「ん?...うわっ!!」
「お待たせ。」
目の前には、ワンピース姿のAさん。
この間の大人っぽい印象とは違って、何だか可愛らしい。
「この間はありがとう。助かりました。」
と、パーカーが入っているらしい紙袋を渡される。
「いえ、こちらこそ。」
「じゃあ、どこ行こうか?何か食べたいものある?」
「え、じゃあ、」
「私ね、蕎麦食べたい気分。」
...あ、そうなのね。もう決めちゃってるのね。
まぁ、いいか。俺も蕎麦は大好物だし。
せっかくだから...
「あの、俺、美味しい店知ってるんで、よかったら行きませんか?」
「え、本当?!行く行く!連れてって!!」
行きつけの蕎麦屋さん。
「うーん、美味しい...」
公園で見た、目を閉じ、幸せそうに食べる顔。
こんなに喜ばれると、連れてきたかいがあったものだ。
天ぷら蕎麦を堪能し、店を出る。
「また、ご馳走になって、すみません。」
「いえいえ、こちらこそ美味しいお店、教えてくれてありがとう。」
「気に入りました?じゃあまた来てみて下さい。」
「...うーん。あのさ、また、誘ってもいい?」
「へ?」
どういうこと?
また、俺とご飯行きたいの?
俺に、会いたいの?
「だってさ、道、覚えれてないもん。絶対、迷う。」
「...え、もしかして、方向音痴?ですか?」
「うん。かなり重症。」
...そういうことか。
ちょっと残念。
でも、またAさんの見かけと違う意外な一面が見えた。
うーん、ツボる。
「じゃ、また食べたくなったら、いつでも誘って下さい(笑)。」
「うんありがとう(笑)。あ、でも次はうどんがいいな。」
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作者名:Momanao | 作成日時:2019年9月8日 23時