18 ページ19
(ASide)
「大丈夫？！」
倒れ込んだ岸くんに駆け寄ると同時にワサッと音が。
見ると...伊野尾さんもぺちゃっと座り込んでしまっている。
「へ...どうしよう...。」
2人の間でオロオロしていると、
「うわ！！何やってるんですか！！」
入口に知念くんが立っている。
「伊野尾さん、べろべろだったんで心配して来てみたんです。あーあ、やっぱり！Aさん、ちょっと見てて！！誰か、呼んでくる！」
走り去ったと思ったらすぐに有岡さんと戻ってきた。
「んもー、いのちゃん！！お酒は飲んでも飲まれたらダメだって！ほら、行くよ！」
2人で魂の抜けたような伊野尾さんを抱きかかえて、化粧室を後にする。
残された岸くんと私。
うずくまっている岸くんの前に座る。
「岸くん、」
岸くんが、顔を上げる。
「...何やってるんですか。」
私を睨む。
「ごめん。」
口元には、血がにじんでいる。
「大丈夫？」
バッグからハンカチを取り出し、岸くんの口元に近づける。
が、岸くんは顔を背けた。
「...本当に、ごめん。」
それだけ言うと、何も出来なくなった。
「優太！何やってんだよー！」
ひょいと、1人の男の人が顔を出す。
「え？！何？どうしたの？！え、ウソ？！大丈夫か！！おーい！みんなー！！！」
その人の声で、仲間らしき人たちがワラワラとやってくる。
「優太くん！！どうしたの！大丈夫？！」
可愛らしい女の子が、私をポンと押しのけ、岸くんとの間に割って入る。
「もう、なんでこんなことになってんの？！」
愛らしい花柄のハンカチで、岸くんの口を押さえてあげている。
私は、岸くんの邪魔にならないように、黙ってその場を去ることしかできなかった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 63人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Momanao | 作成日時：2019年9月8日 23時
