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花火大会当日。
浴衣を着るのに手こずった私は、約束の時間に遅れてしまっている。
待ち合わせた駅には、岸くんがスマホを見ながら待っていた。
慌てて駆け寄る。
「ごめん！！遅くなりました！」
「いえ、大丈夫。」
私をちらっと見たあと、すぐに視線をそらした岸くん。
あら？
いつもの岸くんじゃ、ないような？
どことなくぶっきらぼうというか、不機嫌というか。
「ホントにごめん。かなり待たせちゃったよね。」
「...いえ、大丈夫です。」
そういうと、すたすたと歩き出した。
「ちょっと待って、」
早歩きの岸くんに遅れないように、ついて行く。
...かなり、怒ってます？
よっぽど待たせちゃったんだな...。
駅の構内は、花火大会に行く人達でごった返していた。
岸くんとはぐれないよう、人をかき分けて歩く。
トンっ。
「あ、すみません！」
「いいえ、大丈夫ですか？」
「はい。本当にごめんなさい。」
慣れない下駄でよろめいて、横の人にぶつかってしまう。
...やっぱり、浴衣で来たの失敗だったかなぁ...
やっとのことで、券売機の前にたどり着く。
お金を出している私に、岸くんが話しかけてきた。
「あの、反対の電車、乗りませんか？」
「え、何で？」
「いいとこ、知ってるんで。」
今日初めて、岸くんが笑う。
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作者名：Momanao | 作成日時：2019年9月8日 23時
