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「Aさーん!!これ、資料室ね!」
先輩が持ってきたのは、ダンボールに入った大量のファイル。
「あ、もちろん整理もしといてね。」
「...はい、分かりました。」
席を立とうとすると、
「Aさん、ちょっといいかな?」
有岡さんが私を呼ぶ。
「また、新しい企画を立ち上げることになったんだけど...」
「...だから有岡さん、Aさんには無理ですって。私やり、」
「有岡さん!!」
私はファイルの入ったダンボールを大きな音を立て、机に置く。
フロア中が動きを止め、こちらを見る。
「あの、その企画、やりたいです。私も参加させて下さい。」
皆が静まりかえる中、先輩が慌てて言う。
「Aさん、このファイルは?私、お願いしたよね?」
「はい。うーん...有岡さん、10分だけ待ってもらっていいですか?」
「10分?」
「はい、ファイル片付けてきます。あ、知念くん!手伝って!!」
「え?あ、うん!いいよ。」
「ありがとう!先輩、ファイル整理も終わらせます。そして、新しい企画も、やります!!」
「う...」
「ぶっ。」
言葉に詰まる先輩の後ろで、誰かが吹き出す。
...伊野尾さん?
背中を向けて、パソコン作業をしているので顔は見えない。
「よし、10分後に集合ね。」
「はい、お願いします。行ってきます。」
ぺこりと有岡さんに頭を下げ、資料室のカギを持ち、知念くんにファイルの入ったダンボールを持たせ、フロアを飛び出した。
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作者名:Momanao | 作成日時:2019年9月8日 23時