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「ところで優太、バイト増やした?」
慎太郎が唐揚げを食べながら話しかけてきた。
「え、何で?」
「だってさ、お前と週末会わないもん。いつもならだいたい研究室こもってるのに。」
「そういえばそうだね。忙しくしてるんだ。」
ご飯にふりかけられていた桜でんぶをポロポロこぼしながら、優吾さんも頷く。
あ...それはですね、
Aさんと、会ってるから。
でもまぁ、説明するのも面倒だ。
ただ一緒に食事して、喋ってるだけだし。
いろいろ詮索されるのも、ね。
この人たちが期待するような話は、何もないわけだし。
「あー、うん、まぁね。そんなとこ。」
「ふーん。優太、頑張ってんなー。俺も、バイト増やそかな?」
自分で握ってきたらしいいびつなおにぎりを食べながら、健が感心したように俺を見る。
...少し、罪悪感。
そして、優越感。
「お疲れさん。」
「あ!祥太先生。」
俺たちのゼミの担当講師、戸塚先生がやってきた。
先生なんだけど、若くて学生にも気さくに接してくれるため、皆、兄貴のように慕っている。
慎太郎なんか、下の名前で呼んじゃってるし。
「お!岸、そこのパン屋知ってたの?」
「あ、はい!先生も?」
「うん。ここのパン、美味しいよね。あんぱんもいいけど、俺はカレーパンがお気に入り。」
「あ!あります!!よかったら、ひとつどうぞ。」
「え、いいの?じゃ、いただきます(笑)。」
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作者名:Momanao | 作成日時:2019年9月8日 23時