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熱で寝込んだ五条の体調は無事回復したものの、彼女の姿は無かった。
五条達は夜蛾先生から事情を聞いたがAは帰って来ない。
Aが祖母の家に行ってから1週間近く経過した頃。
以前とは雰囲気が違ったAが血まみれの制服を着た儘帰ってきた。
流石の姿に驚いた五条は、何やら異変を察知した。
『夜蛾先生迷惑掛けてごめんなさい..今帰ってきました。
五条先輩、体調回復したんですね。今日は疲れたので部屋戻りますね、』
「A、祖母さんの様子はどうだった?大丈夫だったのか?」
『祖母は...祖母、弟は父親に殺害されてました。
祖母は私が家に到着した頃には既に、部屋で倒れていました。
弟は、施設から数百メートル離れた河川敷で遺体で発見されました。』
Aの話を聞いた夜蛾先生と五条は、驚きを隠せなかった。
だが随分と様子が変わったAは顔の表情を何1つ変えなかった。
Aは絶望、地獄を通り越して何も考えなくなった。
勿論涙を流す事すら無い彼女に五条は掛けてあげる言葉が見当たらなかった。
以降、彼女は自分の部屋から出てくる事が無くなった。
五条は何度も朝、昼、夜の御飯を部屋の前に持って行った。
扉越しに声を掛けても勿論返事など帰ってくるわけがない。
同級生の七海、灰原も何度か彼女の部屋に行った。
「俺が1番心配してんのは彼奴が御飯食べてないってこと。
俺が毎回朝昼晩の御飯を持って行っても何も手に付けてないんだよ。」
「流石に朝昼晩食べないのは私達も心配だよ..
取り敢えず御飯だけでも食べてくれるように説得してみようか」
夏油の言う通り五条は1度Aの部屋に訪れた。
部屋の扉を数回ノックするも返事は無い。
「なあ、お前全然御飯食べてないじゃん。
数口だけでも食べてくれないと流石のお前でもぶっ倒れんぞ。」
『...』
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作者名:鰻饅頭 x他4人 | 作成日時:2023年10月7日 22時