検索窓
今日:16 hit、昨日:1 hit、合計:24,026 hit

2 ページ2

.








懐かしい匂いがした






久々に訪れた場所は、祖父母の家









まだ、祖母が生きていた頃





東京で仕事があるたびに


技量、人気、温度感…様々な差を感じては落ち込んで





毎回、沢山のコンプレックスを背負って


やってきていたこの場所








.








ピンポーン…








チャイムを鳴らした少し後に出てきたのは









「康二…久しぶりやなぁ」









祖父だった









.







.









祖母のお仏壇の前で手を合わせる








「…きっと、康二が来てくれて嬉しがっとるよ」




「おん、そうやったらええな…」









祖父は仕事熱心な人で


俺がよく来ていた頃は家にいる時間が長くなかったから


祖母ほど関わりがある訳ではなく





また、今日は聞きたいことがあって来たから


少し緊張していた








.









俺は祖父に向き直って、改めて言う









「今日は…デビューが決まったこと、伝えに来たんや」




「康二のおかんから聞いたで。

…ほんまにおめでとう、康二」









それは、祝福の気持ちに満ちた

どっしりと心地よい重さを含んだ言葉だった









「……それで、どうしたんや?」





「…え?」




「…浮かない顔、しとるから」




「わかってまう?」




「俺かて、伊達に康二のおじいちゃんしとらんよ」









祖母より共にした時間は少ないと思っていたけれど




何かと俺のことを気にかけてくれていたのだろう








この家でかつて感じたのと同じような温かさを思い出して





胸がじんとする









.







「ほんで?どうした、康二」





「おじいはさ、おばあが亡くなった時…どうやって立ち直ったん…?」









そう言うと、祖父は少し驚いた顔をして



それから、ふっと柔らかい視線を下に向けた









.









「……立ち直れなんかせんよ」





「…え」








それは、想像していなかった言葉だった

3→←1



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (90 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
225人がお気に入り
設定タグ:SnowMan , 向井康二 , 病系   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ゆきみだいふく。 | 作成日時:2020年9月12日 19時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。