天使、拾いました。3【白】 (ページ4)

今日:1 hit、昨日:4 hit、合計:31,978 hit

安堵ページ4

.

「とにかく、本人にちゃんと言って聞かせます、恥ずかしいからやめなさいって」

こんな顔の綺麗な人たちに送って見せたいほどの顔じゃない

中島「ええっ！なんでですか！
とても愛らしくていらっしゃるから、A様専用画像フォルダまで作ってるんですよ！」

菊池「お前まじか笑」

「今すぐ消してください」

中島「て言いながら菊池も送られてきた時めっちゃニヤけてますからね」

菊池「いや本人の前でバラされんの恥ずかしっ」

「いやいや本人はそれ以上の恥ずかしさなんで」

.

.

だんだんとフランクな2人が垣間見えてきつつ

こんな、多分傍から見たらどうでもいい会話が続いて、少し時間も経ってきた頃

みんな、天使の話がどうなっているのか、だんだんと気になり始めてきていて

そうして、ふつと会話が途切れた

.

ぬるくなった紅茶を一口含んで置くと

アイコンタクトをとった2人の執事がこっちに向き直る

中島「…あなたにはお礼を申し上げなければなりません」

空気の変化は感じていたものの

重みを含んだ言葉が発せられて、私は少し戸惑ってしまう

「えっと…私は、何も」

菊池「ラウール様は屋敷にいた時よりずっと生き生きしてらっしゃいます。これはひとえに、あなたとの出会いのおかげです。」

さっきまで平気で嘘ついてた人とは思えないほど真剣な表情をする菊池さん

…ああ、この人たちも、天使の幸せを心から願ってるんだ

「…いえ、私があの子に救われたんです。お礼を言わなきゃいけないのはこっちです」

きっと、ご両親にたくさんの愛情を注がれたから
執事さんたちに大事に育てられたから

私を救ってくれた彼がある

ちゃんと、お二人の目を見て、感謝を伝えた

.

私の言葉に微笑んだ中島さんが

もう一度きゅっと引き締まった顔つきで言葉を発する

中島「…言っても彼は跡取りですから、未来はどうなるかわかりません。

でも、大切なものを手放すことを是とする奥様、旦那様ではありません。」

力強い確信を含んだその言葉に、ホッとした自分がいた

その時、自分の中に一抹の不安があったことを知った

「…ありがとうございます、中島さん、菊池さん。」

もう一口飲んだ紅茶は、さっきよりもほんのり甘い気がした

…話し終えた彼はどんな顔で出てくるのだろうか