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風鈴 ページ13
昔の家だ
色んなものが置いてあって
全部壊れてる
指から、ブカブカの指輪が落ちた
カランと音がした
「お前がっ、おまえのせいで!!」
パパが、大きな音をたてて壊れたものを壊した
塞ぎ込んで、床に向かって大きな声を出している
「お前がいたから出ていったんだ!!!」
落ちた指輪を、泣きながら壁になげつけた
蒸し暑い部屋、薄暗くて、ものが散らかってる
表情の見えない、パパ
勢いよく私に手を伸ばして、腕を掴まれる
「おまえが.....おまえが....」
傷だらけの腕
血まみれになった手
パパは大きな声を出して、私から手を離した
壁にかけてあった、たんぽぽのかいた風鈴を、床に叩きつけて壊した
ガラスの壊れる音が、広がり、その力で静かになっていく
割れた破片が宙をまって、薄明かりに輝く
『パパ...』
口に出した言葉は、誰にも拾われずに落ちていく
寂しい床に、音も立てずに消えていく
割れた破片、硝子の隙間が見えた
部屋にインターホンの音が鳴る
パパの腕に、しがみついた
もう、離れないように強く握った
硝子の隙間に、もうひとつ世界があればいいのに
そう、呟いた
パパの顔は、見えない
でも、光が反射した
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作者名：淵0903 | 作成日時：2023年6月27日 22時
