文句は眼鏡をとってから (ページ19)

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＿＿＿紗凪side

「…ふぅ…。」

今までは耳より下でまとめていた

やけに長い黒髪を下ろして

ストレートになるようにヘアアイロンをかける。

そして、メイクも

少しだけ背伸びしてやってみる。

…こんな事したの初めてかもしれない。

でもやってみると

意外とできるものなんだ。

昨日百均やらファンシーショップで買ってきた

お嬢様っぽい道具をカバンに入れて。

お気に入りのネックレスをつける。

…ちょっとはヤンキー寄りの

お嬢様になったかな？

鏡で最終チェック。

何回見てもメイクって慣れないな。

そう思って玄関を開けると

「おはよう。」

なんて言ってにっこりふわふわ笑顔で

笑ってらっしゃる赤髪の平野くん。

…ん～、なんでここにいるのかな？

「どうしたの？紫耀。」

階段を降りて門を開けると

「一応、彼女やし？」

なんて言って照れ臭そうに笑った。

そうか。

私、彼女設定なんだ。

「ちゃんと彼女やってや。」

そう言って私の手を取って学校へと足を進める。

「…今日、可愛いな。」

突然聞こえたそんな声に

胸が音を立てる。

紫耀…たまには、いいこと言うじゃん。

「紫耀もね。」

なんて言うと

握られている手の力が少し強くなる。

と、ふと足を止めた紫耀。

「どうしたの？」

顔を覗き込んでそう聞くと。

「そういえば。良かったん？

紗凪って廉が好きなんちゃうの？」

「へ…？」

なんでそれ…知ってるの？