episode 49 ページ50
Aside
ついに、運命のテストの日。
レッスン室に呼ばれ、マネージャーさんがカメラを回してくれて踊る。
撮った動画は音楽の終了と同時に秋元先生の元へ送られるので、チャンスは一度だけ。
とにかく、集中する。
今の自分にできる表現を全てダンスと歌に込めた。
その5分間は、あっという間だった。
マネージャーさんの「はい、送ったよ。」という声と同時に全身から力が抜ける。
マネ「明後日、乃木坂の番組で選抜発表があるから。Aはスタジオには行けないけど、別室待機ね。名前が呼ばれたら、中継が繋がるから。…なかなか良かったと思うよ。」
普段あまり褒めないマネージャーさんに褒めてもらって、少し、いや。結構嬉しかった。
ーーー2日後。
Aside
私は、都内の某テレビ局に居る。
そう、今日はシングルの選抜発表。
私が2日前に撮ったあの曲だ。
殺風景な部屋で、1人でモニター越しに乃木坂さんの番組を見ている。
リアリティがある方がいいと、スタッフさんも誰1人として中に居ない。
私がこの部屋に居ることは、スタッフさんとバナナマンさんしか知らない。
名前が呼ばれたら中継は繋がるけど、呼ばれなかったら繋がらない。
残酷かもしれないけど、これは私が選んだ道だし、留学の条件なのだから仕方がない。
メンバーの皆さんも、バナナマンさんもどこか緊張した面持ちだ。
もちろん、私だって…
さっきから緊張で、ずっと手が震えています。
…始まった。
三列目から、発表されていく。
…呼ばれなかった。
…もう呼ばれないよ。
…もしかしたらまだ。
私の中を光と闇が錯綜する。
ーどんなに怖くても目は瞑らない。
真っ直ぐ前を向くんだ。
ここへ来る前、あれほど誓ったのに…
私は無意識のうちに、目を閉じて胸の前で手を組んでいた。
ーーーーーーーーーーーー
ある者は言う。
「小さい体なのにダイナミックな振り。輝く瞳。人を惹きつける才能のある子は、まさにあの子の事です。」
別の者は言う。
「透き通る凛とした声。なにかを伝えようとする真っ直ぐな視線。思わず吸い込まれそうになりました。」
そしてまた確信したように言う者。
「彼女ならやると思った。さすが、期待通りだ。彼女はどこまで飛んで行くのか。その軌跡を辿っていきたい。」
ー熱い夏が、始まった。
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美紀 - 乃木坂ちゃん大好きです最高です (2019年1月15日 11時) (レス) id: a31ea93868 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しろりんご。 | 作成日時:2018年1月11日 18時