かたおもいカップル【ツイステ】

36話 ページ39

監督生side



｢小エビチャーン！


その皿とってぇ♡｣


｢ん、んまそー♡

よくできたねぇ小エビチャン♡｣


｢いい子だねぇ♡｣




厨房でフロイド先輩と二人っきりのバイト時間。


控えめに言って最高な空間だ。



『このバイトのために頑張って料理の勉強してきましたからね！！』



フロイド先輩と二人っきりということだけで口角が自然に上がって気分も上々になる


正直言ってずっとこのままでいたいと思える程だ。


だけどそう思う私と違って先輩はそうは願わない。


そんなことを考えているとふと、前の世界。

この世界、ツイステッドワンダーランドに来る前に通っていた学校の国語教師の言葉を思い出す



【同床異夢】。

一緒にいたとしても考えていることは全く違う。



私がどんなにフロイド先輩を想っていても、彼にはAさんがいて、彼女のことしか頭にない。


今の私にピッタリの四字熟語だ


どうやったらこの状況を打破できるのだろう


彼に私を意識させるにはどうすればいいの？



ウンウンと頭を悩ませながら作業をしていると、厨房の窓の方からAさんが楽しそうに笑顔を浮かべているのが見えた



『…え。』




笑顔でAさんと話しているのはハーツラビュル副寮長のトレイ・クローバー先輩。

エーデュースとのつながりで仲良くなった先輩だ




Aさんには不本意ながらもフロイド先輩がいるって言うのに…



彼女の楽しそうな顔を見て少し腹が立った



私はこんなに必死に恋愛をしているのに、なんの努力もしていなさそうなあの人が私の想い人の彼女だなんて…と、ふつふつと怒りが込み上げてくる



そんな時だった。



トレイ先輩がAさんのネクタイをいじり始め、それに合わせてAさんが少し屈むようにトレイ先輩の顔のすぐ近くに顔を持ってくる



私の方からは角度的にあまりよく見えなかったけど、周りが少し目を見開いて2人のことを見つめているところを見て確信する





キスをしているんだと





男子生徒と多くの交友を持っているに違いないAさんだからこういうことがあってもおかしくないのかもしれない


だけどそれとこれとは話が別。


彼氏がいるのに他の男の人とキスするなんてありえない


やっぱり誰にでも愛想を振りまいて来る者拒まずな人よりも一途に思い続けている私の方がフロイド先輩には相応しいんだ。

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