お兄ちゃんの友達の大倉くん（緑） (ページ17)

今日:5 hit、昨日:5 hit、合計:182,321 hit

17 ページ17

・

「…マナミさん」

大倉くんの顔がみるみるうちに曇ってきた。

マナミさん、と呼ばれた綺麗な女性は、大倉くんよりもその隣にいる私の方に視線をやっていて。

マナミさんが思っているであろうことは私にも大体分かる。

「この子、誰？」

ほーらやっぱり聞いてきた。

大倉くんの友達の妹です、なんて言って通じてくれるんだろうか。

まぁでも誤解されないように本当のことを言うしかない。

「えっと、…」

「俺の彼女」

私が答えようとしたら大倉くんが被せてきて…

今、〝彼女〟って言ったよね？

は？！

バッと大倉くんを見ると目が合って、その目は「お願いやから俺に合わせて」って言ってるように見えた。

ここで私が訂正しても余計にややこしいことになりそうだから、何も言わずに黙っておく。

「最近居なかったのも、その子の所に行っていたの？」

これはあながち間違いではないな。

大倉くんがコクリと頷いた。

カツカツとマナミさんが勢いよく大倉くんの元へ近づいてきた。

その顔は怒りに満ち溢れていて、
やばい、と思った時にはもう遅かった。

バチン！！

と大きな音を立てて、マナミさんが大倉くんの頬を打った。

打たれた大倉くんはすごく冷静で、

「これで終わり？ほな、バイバイ」

冷静なのか、冷酷なのか。

それだけをマナミさんに告げると、私の方を振り向いて「行こ」と手を差し出した。

えっと、これは…
繋いだ方がいいんだよね？

一応彼女ってことになってるし。

恐る恐る自分の手を大倉くんのに添えると、グイッと力強く握り締められてエレベーターの方へ引っ張られた。

・