・ ページ33
中野「…………湯浅じゃん」
ムーさんの一言でバッと視線を映像に戻す。
『…っえ、えっ、え、』
牧「ちょ、A焦りすぎ」
牧に軽く笑われたけど、そんなの気にしてられなかった。
まさか湯浅が出てくるとは思わなくて、本当はダメだけど自分の準備どころじゃなくなってしまった。
牧原「大抜擢だね」
『やばい、やばいやばい』
周東「Aちゃん緊張しすぎでしょ。……あっ、」
今度は周東さんが声を出すから、そっちに視線を向けると由伸が戻ってきていた。
みんながお疲れ、ナイスピッチと声をかける中、私と目が合うと一直線に向かってくる。
山本「…………ごめん。湯浅、応援したげて」
私の耳元でそういった後、またすぐベンチに戻る由伸。
『……ウ〜〜〜、』
牧「おぉ、どうしたどうした」
中野「色んな感情混ざって頭痛くなってるんでしょ」
ムーさんの言う通り、湯浅へ対しての緊張と不安、由伸に対しての申し訳なさと心配。
他にもいろいろ混ざって、座り込んでしまった。
周東「とりあえず湯浅くん応援したら？」
周東さんに言われて、映像に恐る恐る目を向ける。
マウンドに立つ湯浅は、私が一年目の頃に出会ったオドオドしてすごい球を投げるのに何故か自信なさげな顔をしてる姿はなくて。
私なんかより落ち着いてて、堂々と投げていてその姿を見てたら泣きそうになった。
バットを軽く振りながらも、意識は湯浅に行ってて祈りながら見てると、メキシコの4番を三振に抑えた。
『……ヒェッ、すごい、すごいよ湯浅…、』
牧「ヒェッって、めっちゃ声震えてるし」
もはや私の緊張具合に笑ってるベンチ裏。
この場で、1番最高な三振とる湯浅。尊敬しかない。
…………ただその後のバッターには、いいところに落ちたフォークをレフト前に運ばれた。
『ウウウッ、』
牧「うわ、」
牧原「今のは相手が上手いな」
周東「でも、交代じゃん。1点なら上出来上出来」
周東さんの言う通り、湯浅は実質ワンアウト2.3塁で変わったようなもんなので1点で抑えたなら合格点。
マサさんの好返球もあって、1点でこの流れの悪い回が終わったのはでかかった。
中野「…………行ってきたら？」
『……行ってきます、』
私がムズムズしてるのも、その理由も察したムーさんがそう言ってくれたので急いでベンチに向かう。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 819人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ひな - 今まで見た中で一番面白いです！続き待ってまーす (1月21日 20時) (
レス) @page44 id: 9ec4ffa748 (このIDを非表示/違反報告)
乃絵留(プロフ) - オリ.フラ付いてます。わざとだったらすみません (12月1日 16時) (レス) id: 49cfacfa3c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ちゅら | 作成日時：2023年11月25日 21時
