ありがとう。ごめんね。

ね ページ10

落ちたのだ。

屋上から落ちたのだ

悔いはないのだ。

もしかしたらあの子もこんな気持ちだったのかもしれないのだ。

この辛い日常に終幕を下ろしたがっていたあの子の気持ちが分かったのだ。

でももう遅いのだ。

ごめんね、ごめんねっと呟きながら宙を舞う私の体。

あともう少しであの子の所に行ける、そう思った瞬間、体の動きが止まった。

ふと前を見る。

消えたはずのあの子が立っていた。

ごめん

あの子は言った。

違うのだ。

それを言うのは私の方なのだ。

そう言いたかった。

しかし、口が開かなかった。

先に行ってごめんね…

あの子は色んなことを話したが、私はボーッとしてて、ひとつも聞いていなかった。

だが最後にこういったのだけは覚えてるよだ。

私の分まで生きて、と…

次に気がついた時は病院のベッドにいた。

あれは夢かと思った。

どうやら私は3日程寝ていたらしい。

どうでも良かった…

あの子は私を助けてくれた。

いじめから助けてくれなかった私を。

ごめんねと言いながら私は泣き叫んだ。




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ありがとう。ごめんね。

《完》

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