◇電脳少年の受難◆*２* (ページ9)

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STAGE７ー２【二宮】ページ9

本当は
ひとりでしようと思っていたが

せっかくなので
大野さんにも来てもらった

東京の中でもかなり
高いところの屋上

僕はそっと瞳を閉じて
意識を集中させる

飛び交う情報。

SNS

サイト

研究レポートや
パスワードの掛かったフォルダ

すべてが
行き来する回線に
俺は半分入り込んだ

高いところだからこそ
多くの情報がより伝わる

半分だけ入ることで
東京全体の情報が体に入る

だが、
たくさんの情報に

吐き気やめまいが起きてしまう

脳が情報を受け取れきれず
ヒートアップしそうだった

割るように痛い頭に
意識が持っていかれそうになる

──仕事やめたい。

──彼氏とケンカした〜まじ萎える

──このステージの攻略は...

──最近、夜歩くの怖いよね

──友達とパーティなう！

ちがう。

ちがう。

どうでもいいものまで拾う頭に
イライラが募る

どこかにあるはずなんだ。

犯人の手がかりとなるものが

自分の体が
そろそろ限界に近いのがわかる

『クラスメイトに糸出すやついんだけど』

きた。

その言葉に吸い込まれるように
意識をもっていく

『そいつ怒らしたらまじやばい』

クラスメイト
ってことは学生か

僕は大野さんに
“学生”と伝える

もう少しヒントがほしい
彼のSNSはまだ続く
痛む頭を無視して覗く

『不登校気味で最近、人襲ってんだよ』

『転校してきてやつが調子乗りやがって』

『あいつ大学とか受けんのかな笑』

“不登校”

“高校生”

“転入”

『アイトなんか消えたらいいのに』

“アイト”

俺は崩れ落ちるように
足から力が抜け、

視界が暗転する

大｢ニノっ!!｣

咄嗟に大野さんが支えに入り
頭をコンクリートに
ぶつけずに済んた

ただ
酔ったときのように
頭が朦朧とし、
吐き気が止まらない

大｢しっかりしろっ！｣

その言葉を最後に
俺の脳はシャットアウトした