◇電脳少年の受難◆*２* (ページ47)

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STAGE１０ー６【二宮】ページ47

傷だらけの体で
僕を見つめる4人の目。

その四人とは違う
狂気に満ちた瞳の主の方を睨みつける

｢ねぇ、思い出した？
悲しい？淋しい？憎い？...くくっ｣

笑い声を抑えるように笑うこいつが腹立たしい。

｢No.617。もとい、二宮和也くん。

君の生まれたファントムランドはもうないんだよ。

家族も友達も先生も。ぜーんぶ消滅したんだ｣

ニ｢あなたが壊したのですか。
僕の家族をころしたんですか！！｣

｢そうだよ。爆弾を投げればすぐに破壊した

でもあの世界を創ったのは私なのだから、
何をしようと勝手だろう？

でも、
君はあの世界から抜け出し生き残った。
こんな素晴らしい逸材を使わなくてどうする！？｣

不敵に笑うこの人は
僕の生まれた世界をつくり、そして壊した。

だけどその中で、
僕は生き残ってしまった。

同じようにあの丘にたどり着いた時、
僕はこの研究所に現れた

素晴らしいといって、
僕の体を改造し道具として扱う

そして、
実験といって送り込まれた世界は、
すべて僕が住んでた世界だったんだ。

｢実は、君が大好きな斗真くんはね、
君が壊れていくと思って殺したんだ。

改造したのは本当だし、
実際にもう一体欲しいとは思ってたけど

なんの能力もない斗真くんは案の定死んだ

でもね、
私はあんな使えない研究員なんか消えても痛くも痒くもない

ただ
君の絶望した顔は最高だったよ笑｣

ゲスい顔で淡々というこの人は、
僕の人生を遊び道具としていた。

僕はこの人の思い通りな反応で、
この人を楽しませていただけの玩具に過ぎない

この人のせいで、斗真は死んだ。

そして、
僕を殺し、世界を壊した。

許さない。

絶対許さない。

近くにあった翔さんの長刀を奪い、
あの人の元へ走り出す。

そして、
厚みのある人間の肉の壁を突き破った。

呻き声をあげるこの人の白衣は、
じわじわと赤く染めていく

ニ｢僕の勝ちだ。｣

人の命とは脆いものだ。

それは、簡単に世界を壊せるのと同じぐらい

この人は、
人間の皮を被った化け物だ。

抜きさした剣から血が滴り、
鈍い音をたててこの人は倒れた

これが正解だったのだろうか。

『ここから出してよ』

その言葉は、

未来の僕に向けた
過去の僕の言葉だったのかもしれない。