◇電脳少年の受難◆*２* (ページ46)

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STAGE１０ー５【二宮】ページ46

クラクションの音

悲鳴。

怒号。

崩れ落ちていく建物は、
破壊されていく音と同化していた

目の前には大きな夕日がある。

眩しい光は、
僕を丘へと導いてくれた

息が詰まりそうで、
喉は乾き、ヒリヒリと痛い。

足は縺れて、
片足はつってしまいまともに動かない

それでも僕は走り続けた。

この体が壊れてしまっても、
僕の本体はこの世界の外にある

いつまにか
あの騒がしい音は小さなっていた。

もう少しであの丘にたどり着く。

速く。

速く。

速く。

そう思うのに、
体は言うことをきいてくれない。

崩れるようにして前に倒れる。

膝や腕からは擦り傷ができて、
そこから血がにじみ出ていた

目の前にあるゴールをみる。

それを輝かせるようにして照らす夕日。

あぁ、やっぱりそうだ。

小さい頃、
同じようにこの丘に来て世界を飛び出したんだ

思い出した記憶は、
酷く残酷で、殺生な過去。

燃え尽きていく街を背に、
僕は頬に一筋の雫が目から零れた

音はもう聴こえない。

次第に聞こえたのは
大好きなあの人たちの叫ぶ声

ゆっくり目を開ければ、

目の前の白衣の男は面白そうに笑った。

まるでピエロのように。狂った心で。