◇電脳少年の受難◆*２* (ページ44)

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STAGE１０ー３【二宮】ページ44

自分の走る音が響き渡る。

サイレンはいまだなり続け、
頭が洗脳されそうだ

五つの足音も今はひとつ。

後戻りできない状況に、
僕は歯を食いしばりながら走り続けた

息がきれるころ、
やっとついた最上階。

大きな扉に手をかけて、豪快に開けた。

｢...早かったな、No.617。｣

扉の先には
見覚えのある顔がひとり。

椅子を回して、こっちをみる男に、
昔の記憶と重なって吐き気がした

不気味に笑うこいつは、
いまどういう気持ちなのか読み取ることはできなかった

｢戻ってきてくれたのかな？｣

ニ｢そんなわけない。
二度とあんなことはするもんか。｣

｢それは残念だなぁ…笑｣

余裕そうなその表情と喋り方に
僕はイライラし始める

この人は、
僕を改造した人であり

前の僕を殺したひとだ。

そして、
この研究所の第一責任者。

すべての実験は
この人の提案で行われたもの。

ニ｢今すぐ研究なんかやめてください。｣

｢それはできないよ｣

ニ｢もう...僕を縛らないで。
やっと居場所をみつけたんです。

もしそれを奪うならあなたのことを殺しますよ｣

｢怖いなぁ笑。そんな怒らないでよ笑

...わかった。
そんなに私が憎いなら賭けをしよう｣

ニ｢賭け...？｣

｢もし、
私が勝ったら君はこれからも私のモノになる

もし君が勝った時は望み通り消えてあげよう｣

この勝負、
受けなければきっと僕は後悔する。

4人の思いも僕は背負ってここにいるのだから、

この賭けに必ず勝ってみせる。

僕はこの人とのゲームを始めた。