◇電脳少年の受難◆*２* (ページ39)

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STAGE９ー４【二宮】ページ39

もうこの家とはお別れなのかな。

闇に染まった外と、
なにか聞こえてきそうなほどの静けさのなか

僕はお世話になった大きな家の前に立つ

出来ることなら
またこの家に帰ってきたい。

そしておかえりと迎えてほしい

でも、
もしかしたら僕は死ぬかもしれない。

いや、
また実験を行うために玩具として
一生檻の中だろう

小さく息を吐くと、
僕は体の向きを変えて歩き出す

向かうはあの研究所。

そのために
まず僕は、いつもの場所へと歩みを進めた

東京を見下ろすことができるビルの屋上

冷たい風を体で感じながら
ゆっくりゆっくり意識を落とす

途端に外の音が消え、
徐々に電子の音だけになる

どこか落ち着く空間に浸りながら、
僕は研究所の場所を探る

案外早く場所はわかり、
意識を元の世界に戻すとほっと一息ついた

だけどそれもつかの間。

僕はどれだけあの人たちに
愛されていたのかわかっていなかったようだ

ジリジリと足音が近づく。

聴きたくないような。安心するような。

｢ニノ。｣

｢...なんでっ。ｯ...｣

優しく僕の名前を口にするのは、

息を切らした大野さんだった。