◇電脳少年の受難◆*２* (ページ19)

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STAGE８ー１【相葉】ページ19

ニノが来て
あっという間に１ヶ月以上経つ

服も半袖から
薄めの長袖にかわり、

少しばかり夏が恋しくなった

相｢あ！猫ちゃんだ！！｣

ニノと一緒に
今日の晩御飯の買い出しの帰り、

俺は猫をみつけると
荷物を揺らしながら駆け寄った

ニ｢ちょっと、
いきなり走らないでくださいよっ...｣

少し息の切れたニノは
俺の行動に文句をいう

軽くごめんといって
案外大人しい猫を撫で回す

ニノもしゃがんで
いっしょに猫と戯れていたのだが

急に撫でていた手をとめ
険しい顔になる

ニ｢...相葉さん、
なんか音が聞こえませんか？｣

相｢へ？...あ、たしかに！

なんだろ、三味線かな？｣

そう呟けば
猫はどこかに逃げてしまった

それと同時にニノが頭を抱え
地面にうずくまる

呻き声とともに苦しそうなその姿に

俺は必死に声をかけるが
収まる気配はしなかった

相｢ニノっ!!ニノっ!!!｣

ニ｢...くｯ、うぅ...ぁああ！｣

呪われているような
低くてゆっくりとした三味線の音色が
ニノを苦しめる

周りをみても
三味線を持った人などいない

それて
被害にあっているのニノだけだった

｢ここにおられたんかぁ...｣

京都の人のように
のびやかにゆっくり言葉を使い

上品な声に釣られるようにして顔を上げる

すると、
着物をきた女性は
三味線を奏でながら

にやりと口元をあげ
ニノをみおろしていた

相｢誰だ、お前。｣

右手に槍を構えるながら
そう問いただせば

彼女は薄ら笑いで答える

｢物騒なもん持ってはって、怖い怖い笑｣

相｢今すぐ音を止めろっ｣

冷たく睨みながら言えば
彼女は演奏をやめた

だが、
俺の方を見て微笑みながら
ある忠告をする

｢今日は見逃してあげます、
せやけど、次はねきの子をもろうますよ

...ほな、さいなら。｣

後ろをむき歩き出す彼女は
途端に姿を消した