◇電脳少年の受難◆ (ページ9)

今日:2 hit、昨日:41 hit、合計:108,931 hit

STAGE１ー８【松本】ページ9

カレーも食べ終わり
いつもなら
それぞれ好きなことをする時間だ

でも今日は
みんながテーブルに座り
多分、
俺の片付けが終わるのを
待っているんだろう

全ての食器が洗い終わり
濡れた手をタオルで拭いたら

雅紀のとなりに
椅子を引いて座る

待っていたかのように
リーダーが口を開いた

大｢で、あの子は誰なの？｣

いま一番知りたい質問を
躊躇なく聞いた

その質問に答えるはずの
翔さんはテーブルを見ながら
手の指を交差させる

櫻｢わからない。

...あの子の名前も住所も、歳だって知らない。｣

そう答えを聞いて
ますます意味がわからなかった

じゃあ、
なぜここに連れてきたのか

櫻｢だけどほっとけなかった。｣

話し始めてから、
いままで真顔だったのが
初めて感情をあらわにした
表情をする

それから
どのようにして会ったのか、
なんで連れてきたのか

目線はずっと
下を向いてたけど

すべて話してくれた

それを聞いて
俺はなんて言葉を
かけたらいいのかわからず

静かに翔さんを見ていた

すると、
黙って聞いていた
リーダーがしゃべり出した

大｢翔くんが必死なのは、
話を聞く前から分かってた。

だから
今更あの子を追い出すことはしないよ

でも連れてきた以上
どんな事情があるかわからないけど

責任もって
あの子を守ること｣

大｢だからって
ひとりで頑張るんじゃなくて

俺らにも守らせてね、あの子を｣

優しい眼差しで
翔くんを見ながら話している

こういうところは
さすがリーダーだなって思う

いざと言う時に
頼りになる。

だからかな、
普段怠けていても
どこかで信頼してる

翔さんは
リーダーの言葉で顔をあげた

ありがとう。

そう翔さんが呟くと
リーダーは再度微笑みかけ
席を立って
あの謎の男の子のもとへむかった