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が、しかし
そうではなかったのだ
それはすぐにわかった
昼休みになり、仲良しのまりちゃんとお弁当を食べている私の卵焼きをパクッと食べたのは
増田先輩だった
「なんで増田先輩が食べてるんですか。」
「だっておいしいだもん。ねっ、まりちゃん。
Aちゃんの手料理。おいしいよねー」
「美味しいですよねー」
なんでまりちゃんもニコニコ答えてるの
「おいしいなー、あっ、今度はおれに作ってよ!
ちなみになんだけど、おれ、餃子すきだから
作ってくれたらうれしいなー」
知ってます。
だって増田先輩って飲み会とかでほぼ餃子しか食べてないし。
あと、作りません。
まりちゃんのほうを見ると
「いいじゃん、A。作ったら?餃子」
なんて言っている
その後も何故か私の手料理などなど、私について話して何故か意気投合している2人に呆れて、いつものあの席を見る
あれ?今日は加藤くんいないんだ
加藤くんは大抵窓際のあの席で
本を読んだりしながら
(たまに同僚の小山くんとかと)
お洒落なお弁当を食べてるからいないのが不思議だった
そんなこともあってあの席を気にしながら食べてたらもう昼休みが終わる時間になってた
「じゃあね」
少しニヤついてるまりちゃんにバイバイして増田先輩と部署に戻る
2人で乗ったエレベーターは、少し気まずかった
「あのさぁ、今日の朝に話したことだけどね、
おれ、ちゃんと伝わるように、伝わるまで
伝えることにしたから。」
ふと話し始めた増田先輩を見ると
前を見ていると思っていた増田先輩は私を見ていた
「すきだから。」
仕事以外で初めて真っ直ぐ向けられた真剣な眼差しに驚いて何も言えなかった
驚く私に増田先輩が手を伸ばした
頬っぺたを触ろうとした手は空中を彷徨って
私の肩に辿りついた
その、まぁるくて、大きな目に引き寄せられて
思わず動けなくなった
ダメなのに
私は加藤くんが好きなのに
抵抗しないとダメなのに
近づいてくる増田先輩の顔を見つめることしか出来なかった
チリン
はっとした。
着いた。
横を見る。
加藤くんと、目が合う。
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作者名:しろくまアイス | 作成日時:2023年3月30日 18時